【コックスプレート現地情報】2週連続で日本馬勝利なるか リスグラシューが圧倒的1番人気 (無料公開)

2019年10月23日(水) 18:01

海外競馬通信

▲前走の宝塚記念と同じく、レーン騎手の手綱で挑むリスグラシュー (C)netkeiba.com

オーストラリアの現役騎手・通訳兼コーディネーターの川上鉱介氏が、26(土)に迫っている豪G1のコックスプレートを生展望(発走は日本時間の午後2時55分)。

先週のコーフィールドCをメールドグラースが制したこともあり、現地では日本馬の2週連続勝利への期待が高まっていると言います。日本勢の最新情報、馬券で押さえたい地元注目馬情報をお届けします。

(文=川上鉱介)

4連覇のウィンクスが引退、今年は参戦馬が増

 オーストラリアのメルボルンで行われる競馬の祭典スプリングカーニバル。

 その中でも特に注目される三大レースであるコーフィールドC、コックスプレート、メルボルンCの中で、唯一の定量戦がコックスプレートだ。

 スピードとスタミナが試される2040mという距離を舞台に行われるコックスプレートは種牡馬選定レースとしても重要な位置付けにあり、欧州でも活躍したソーユーシンクやオクタゴナルなど、同レースを勝った後に種牡馬として成功を納める馬も多い。

 2015〜2018年にかけて、オーストラリアの歴史的名牝ウィンクスが4連覇の快挙を成し遂げたレースとしても知られている。

 ウィンクスが初めて優勝を果たした2015年はフルゲート14頭が集まった同レースだが、その後は同馬を避けるように出走馬は10、9、8頭と年々減っていっていた、ウィンクスが引退した今年は国内外の超一流中距離馬達が集まり、14頭プラス4頭の補欠でも収まりきらない事態となった。

 出走馬はムーニーバレー競馬場を運営するMVRC(ムーニーバレー・レーシングクラブ)が絶対的裁量権を持って決めるため、G1レース3勝で2017年のコックスプレートで名牝ウィンクスをクビ差まで追い詰めたヒューミドールや、QLDダービー馬のミスタークイッキーが補欠に回るなど、14頭の出走馬選定結果は物議を醸した。

 しかしながら、選ばれた14頭の質は素晴らしく、全14頭が過去2戦以内にG1レースで勝ち負けをしている。

リスグラシューが圧倒的な1番人気に

 日本から参戦のリスグラシューは現地でもかなりの評価を得ており、前売りから1番人気に支持されていたが、メールドグラースがコーフィールドCで日本馬のレベルの高さを見せつけた後はさらに圧倒的な1番人気となり、現地でも日本勢の2週連続の快挙への期待が高まっている。

 前々走のシドニー遠征でウィンクスの2着と大健闘したクルーガーは、鞍上のT.ベリー騎手が2度に渡りシドニーから追い切りのためにメルボルン入りするほどの惚れ込みようだ。

 ベリー騎手は「秋のシドニーの時より明らかに状態が上がっている、この馬はオーストラリアの競馬の方が合っていて、こちらに来ると馬が変わる。前回シドニーで乗った時から、またこの馬に乗るのを楽しみにしていた。枠順も良いし土曜日はチャンスがあると思う」と絶賛だ。

低斤量が魅力、地元馬キャステルヴェキオ

 地元オーストラリア勢で注目されているのはやはり、ミスティックジャーニー。タスマニアから彗星の如く現れた同馬は3走前まで破竹の7連勝を飾りウィンクスの次のスター誕生かとオーストラリア中が注目した。

 前走では距離不安が囁かれる中での初めての2000mという事で、最後方からの競馬となり、直線伸びるも届かず5着となったが、今回は前目の競馬をすると陣営は発表している。

 その他には明け3歳になったばかりのキャステルヴェキオ。ダンディール産駒の同馬は、2歳時に1600mのG1シャンパンSを制し、前走のG1・チャンピオンSではシャドウヒーローに1馬身差の2着と2000mでも結果を出している。

 49.5kgの低斤量での出走となり、過去にはG1・10勝の名馬ソーユーシンクや種牡馬としても大成功を収めているサヴァビールなどが3歳で栄冠を手にするなど、低斤量で出走出来る点は非常に魅力的だ。

 ハイレベルなメンバーが集まったG1・コーフィールドSでオーストラリア移籍初戦を飾ったケープオブグッドホープも侮れない。

 現地では評価は低めだが、欧州勢の2頭は日本馬にとっても強敵となると思われる。

 既にアデレードでコックスプレートを制しているA・オブライエン師が今年送り込んで来た馬がマジックワンド。勝ち星こそ2018年6月以来はないが、前走のG1・愛チャンピオンSでは、マジカルの2着で日本馬ディアドラにも先着している。

 前々走はG1・アーリントンミリオンで2着、3月には G1・ドバイシーマクラシックでも日本勢と対戦し5着と健闘し、レイデオロに先着している。世界中で安定したパフォーマンスを見せるタフな牝馬だ。

 また英国より遠征しているダンステリアも能力的には決して見劣りしない、前走は独G1・ダルマイヤー大賞を制覇、前々走のG1・エクリプスSではエネイブルの4着と健闘している。

 ムーニーバレー競馬場は1周1805m、直線はわずか173mで縦長の長方形の非常に特殊な形をしている。直線が短い事から前残りのイメージもあるが、その分ペースが速くなりやすいこともあり、また800mからはゴール板までは5mの緩やかな上り坂である事、最終コーナーは7.5度のバンクになっている事から、後ろからの競馬でも十分に勝機はあるが、やはりサイドストレートの時点では先頭を射程圏内に入れておく必要があり仕掛けどころが非常に難しい競馬場だ。

 日本馬としては、トーセンダンディが2005年に出走し11着に破れて以来の挑戦となるリスグラシューとクルーガー。どちらかがコックスプレート優勝を果たせば歴史に残る快挙となる。

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