2019年11月28日(木) 12:00
前走で大敗した馬がGIを勝つことは、どのくらいあるのだろう。
そう思って過去10年のデータを見ているうちに、本題とは別の、面白い傾向に気がついた。
連勝でGI制覇となることが多いレースと、そうではないレースとにはっきりと分かれるのだ。
以下に、連勝でGIを勝った馬と、大敗後に勝った馬を記していきたいのだが、GI全部だとものすごい量になるので、牝馬限定を除く古馬GIだけにする(大阪杯は過去3回、チャンピオンズカップはジャパンカップダートまで遡る)。なお、「大敗」は便宜上6着以下とする。
■フェブラリーステークス 連勝(7頭)……2019年インティ、2018年ノンコノユメ、2016年モーニン、2015年コパノリッキー、2013年グレープブランデー、2011年トランセンド、2010年エスポワールシチー 大敗(2頭)……2017年ゴールドドリーム(2016年チャンピオンズカップ12着)、2014年コパノリッキー(2013年フェアウェルステークス9着)
■高松宮記念 連勝(4頭)……2018年ファインニードル、2014年コパノリチャード、2013年ロードカナロア、2010年キンシャサノキセキ 大敗(1頭)……2019年ミスターメロディ(阪急杯7着)
■大阪杯(過去3回) 連勝(1頭)……2018年スワーヴリチャード 大敗(0頭)
■天皇賞・春 連勝(5頭)……2018年レインボーライン、2017年キタサンブラック、2015年ゴールドシップ、2013年フェノーメノ、2011年ヒルノダムール 大敗(1頭)……2012年ビートブラック(阪神大賞典10着)
■安田記念 連勝(4頭)……2015年モーリス、2014年ジャスタウェイ、2013年ロードカナロア、2010年ショウワモダン 大敗(1頭)……2017年サトノアラジン(京王杯スプリングカップ9着)
■宝塚記念 連勝(2頭)……2015年ラブリーデイ、2010年ナカヤマフェスタ 大敗(3頭)……2017年サトノクラウン(大阪杯6着)、2014年ゴールドシップ(天皇賞・春7着)、2012年オルフェーヴル(天皇賞・春11着)
■スプリンターズステークス 連勝(4頭)……2019年タワーオブロンドン、2018年ファインニードル、2016年レッドファルクス、2011年カレンチャン 大敗(2頭)……2014年スノードラゴン(キーンランドカップ8着)、2010年ウルトラファンタジー(シャティンヴァーズ14着)
■天皇賞・秋 連勝(3頭)……2018年レイデオロ、2015年ラブリーデイ、2011年トーセンジョーダン 大敗(2頭)……2017年キタサンブラック(宝塚記念9着)、2012年エイシンフラッシュ(毎日王冠9着)
■マイルチャンピオンシップ 連勝(2頭)……2015年モーリス、2011年エイシンアポロン 大敗(3頭)……2014年ダノンシャーク(富士ステークス7着)、2012年サダムパテック(天皇賞・秋8着)、2010年エーシンフォワード(スワンステークス8着)
■ジャパンカップ 連勝(3頭)……2018年アーモンドアイ、2016年キタサンブラック、2012年ジェンティルドンナ 大敗(2頭)……2019年スワーヴリチャード(天皇賞・秋7着)、2014年エピファネイア(天皇賞・秋6着)
■チャンピオンズカップ 連勝(4頭)……2018年ルヴァンスレーヴ、2013年ベルシャザール、2010年トランセンド、2009年エスポワールシチー 大敗(0頭)
■有馬記念 連勝(4頭)……2016年サトノダイヤモンド、2015年ゴールドアクター、2012年ゴールドシップ、2011年オルフェーヴル 大敗(1頭)……2009年ドリームジャーニー(天皇賞・秋6着)
前走、他馬と接触する不利もあって15着に大敗したインティにとって、心強いデータを見つけようと思っていたら、逆の結果になってしまった。
が、11年前、2008年のジャパンカップダートを勝ったカネヒキリは、前走の武蔵野ステークスでコンマ6秒差の9着に大敗していた。直線で行き場がなくなり、手綱を引っ張り加減のまま、力を出し切れずに終わった。その武蔵野ステークスは、屈腱炎による約2年4カ月の休養を経ての実戦だったこともあり、無理をしなかったことが、結果的に幸いした。
11年ぶりの逆転劇が見られるか。
インティとカネヒキリについて書くなら、過去10年のデータを引き合いに出さないほうがよかったような気もしてきたが、ともかく、今年もチャンピオンズカップを楽しみたい。
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島田明宏
作家。1964年札幌生まれ。Number、優駿、うまレターほかに寄稿。著書に『誰も書かなかった武豊 決断』『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』(2011年度JRA賞馬事文化賞受賞作)など多数。netkeiba初出の小説『絆〜走れ奇跡の子馬〜』が2017年にドラマ化された。最新刊は競馬ミステリーシリーズ第6弾『ブリーダーズ・ロマン』。プロフィールイラストはよしだみほ画伯。バナーのポートレート撮影は桂伸也カメラマン。 関連サイト:島田明宏Web事務所
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