南関東カレーうどん巡礼

2019年12月24日(火) 18:00

寒空の競馬観戦はこれで決まり!

 JBCの浦和開催では、もともと南関東の競馬ファンには有名だった里美食堂の『黄色いカレー』がさらに広く知られることになったのではないか。現地で開門ダッシュを見届けたあと、中継のためグリーンチャンネルのスタジオに移動してしまったのであとから聞いた話なのだが、黄色いカレーは相当早くの時間に売り切れてしまったらしい。

 そしてその次の浦和開催となった浦和記念の日はめちゃくちゃ寒かった。ま、冬の浦和開催は寒いのが普通ではあるのだが。で、そういえば!と、思いついたのが、里美食堂でカレーライスは何度も食べているのに、黄色いカレーでうどんは食ったことがなかったのではないかということ。

 それで思いついたのが、表題の『南関東カレーうどん巡礼』。南関東4場のカレーうどんを食べ比べてみようと。

南関東4場カレーうどんコレクション

 というわけで、これが南関東4場それぞれで食べられるカレーうどん。これを見ただけで、どれがどこのカレーうどんかわかる方がいれば、相当な南関東のうどん通。里美食堂のカレーうどんはすぐにわかってしまうかと思っていたのだが、しかし、浦和以外にも黄色っぽいカレーうどんがありました。

 ご覧のとおり、うどんのフォーマット(?)はどこも同じ。かけうどんの上に、カレーライスとしても提供されるルーをどばっとかけて刻みネギを乗せたタイプ。黄色っぽいのと焦げ茶色っぽいのが2対2。さて、どれがどこのカレーうどんでしょうか。

 まずは左上から。テリテリに煮込まれたカレーは、ちょっとスパイシー。具は、たっぷりの玉ねぎに人参が少々。脂や旨味がカレーに抽出されたと思われる肉片も。麺はツルツルでやわやわ。博多うどんに近い柔らかさだけど、博多うどんとは違う。

川崎競馬場・志ら井のカレーうどん(600円)

 というわけで、コレクション左上のコレは、川崎競馬場2号スタンド2階、フードコートにある煮込みで有名な『志ら井』さんのカレーうどん(600円)。煮込みのお店だけにカレーもばっちり煮込まれているのかも。

 続いてはコレクション左下。黄色いカレーは、マイルドながらややピリッとアクセント。ちょっと失敗したのは、写真を撮る前に七味を振ってしまったため、カレーが赤っぽく見えること。七味は注文カウンターに置いてあるだけなので、受け取ったときに振るしかなかったという次第。玉ねぎたっぷりが特徴のカレーではあるのだが、ルーが出汁に溶けて混ざると玉ねぎがこれでもかというほど入っていることをあらためて実感。とはいえ玉ねぎばかりではなく、大きめの人参と豚肉も。これだけ具が多いとけんちんカレーうどんと言ってもいいかも。ちょっと大げさに表現するならうどんをおかずに玉ねぎを食べる感じ。麺は冷凍ゆで麺の細めでややコシのあるタイプ。

浦和競馬場・里美食堂のカレーうどん(500円)

 というわけでこのカレーうどんは、浦和競馬場の新スタンド1階に移転した「黄色いカレー」で有名な『里美食堂』さんのカレーうどん(500円)でした。どのカレーうどんもフレーム一杯に撮影したので写真では大きさの比較ができないのだが、里美食堂の丼はちょっと大きめ。一般的な立ち食いうどんと比較しても大盛と言っていいほどのボリューム。それでいてカレーライス(並・600円)より100円安い500円はかなりの満足感。浦和の黄色いカレーは、カレーライスだけでなくカレーうどんも激しくオススメです。

 続いてコレクション右上、もうひとつの黄色っぽいカレー。見た目からしていかにも昭和なカレー。スパイシー感、ピリッと感はほとんどなく、浦和の黄色いカレーよりもマイルド。ほかの3つとの決定的な違いは、大ぶりのじゃがいもが入っていること。カレーにじゃがいもは、個人的には欠かせない最重要アイテムと考えているだけに、これはうれしい。ではなぜほかの3つはじゃがいもが入っていないのか。競馬場ではすぐに温かいカレーを提供するため、何時間も弱火にかけておかなければならない。そうするとじゃがいもが煮崩れてしまうおそれがあり、それゆえじゃがいもを入れてないのではないか、と想像するに至ったのだが、ホントのところはどうなんでしょう。ほかの具材は、厚めにいちょう切りの人参が多数、そして玉ねぎ、豚肉も。

船橋競馬場・東西売店のカレーうどん(450円)

 というわけで右上のカレーうどんは、船橋競馬場のゴール前スタンド3階にある『東西売店』さんのカレーうどん(450円)。なるほど東西売店といえば有名なのはあんかけ焼きそば。その“あん”も黄色っぽいカレー風味で、カレーライスも同じ系統なのかも。うどんの出汁に対してカレールーが少なくね?と思ったのだが……徐々に出汁とカレーが混じって一体になると、これがなかなかのバランスではありませんか。450円という南関東カレーうどん最安値にして、なかなかのボリュームです。

 さて、最後に残ったコレクション右下。これもとろとろテリテリに煮込まれたカレーですが、意外にマイルド系。具は、肉片と玉ねぎのみ。むしろ正統派であり硬派なカレーうどん。冷凍ゆで麺の太さは普通で、けっこうなコシあり。讃岐のように小麦を感じるというほどではないものの、噛むのが楽しいくらいなかみごたえ。

大井競馬場・かしわやのカレーうどん(530円)

 というわけで最後は大井競馬場L-WINGの2階にある、そば・うどんの名店と言ってもいい『かしわや』さんのカレーうどん(530円)でした。出汁が美味しいのは言うまでもなく、カレーとの相性も申し分なし。そもそもここのメニューにはカレーライスがなくカレー丼なので、カレールー自体に出汁系が入っているのかも。麺を食べ終わったら残ったつゆに白ごはんをドボンとしたくなる和風系のおいしさです。

 さらに。ほとんど時期を同じくして、南関東以外の競馬場でもカレーうどんを食べる機会があったので、オマケとしてもう一軒。コレ。

園田競馬場・一八のまぐろカレーうどん(500円)

 まずそのフォルムからして、南関東4場のカレーうどんとは一線を画すもの。南関東4場がいずれも立ち食い風にかけうどんにカレールーをどばっとかけたものに対して、こちら、園田競馬場のまぐろ専門店『一八』さんのカレーうどん(500円)は、ちゃんとした蕎麦屋さんのカレーうどん風に、出汁にカレーの要素が完全に一体になったもの。麺はコシというよりもちもち系。ご覧のとおり、玉ねぎはそれほど煮込まれておらずシャキシャキ感が残った状態。そしてゴロっとした肉のような塊がまぐろ(!)。カレーうどんといえば出汁の風味がカレーに負けてしまうことがほとんどだが、こちらのはまぐろなのか魚系の出汁が強烈に主張。カレーに負けていません。これでワンコインは、たいへんなお値打ちですよ。

 というわけで、寒い冬の競馬場ではカレーうどんを是非。

 さて、このコラム。次週火曜日は大晦日で1回休みとなります。では、よい年を。年越しにもカレーうどんをどうぞ。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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