2020年02月16日(日) 18:04
▲海外遠征の先駆者、森秀行調教師 (C)netkeiba.com
今月29日に行われるサウジC。1着賞金11億、総賞金22億円。netkeibaではこの未知なる国際競走を1か月にわたって特集します。
第1回は世界の合田直弘さんに、サウジアラビア競馬の基本を解説していただきました。第2回では若い頃にサウジアラビアで騎乗経験のあるM.デムーロ騎手が、現地のリアルを証言してくれました。
第3回の今回は海外遠征に積極的な3名のホースマン、森秀行調教師、矢作芳人調教師、ディアドラ(橋田厩舎)で世界を転戦中の橋田宜長助手が登場。「海外は挑戦するものから通常のローテーションへ 変わる現場の意識」と「サウジCの魅力」をお聞きします。
(取材・構成=大恵陽子)
第2回 M.デムーロ騎手が証言!サウジアラビア競馬のリアル
――フランスやイギリスでもG1を制覇されている森調教師。初の海外遠征は開業翌年の1994年、フジヤマケンザンで香港国際カップ(現:香港カップ)でした。残念ながら4着に敗れましたが翌年に再挑戦し、見事、海外G1初制覇を遂げられました。
森秀行調教師(以下、森師) 前年に4着に敗れた後、春には自費遠征でQEIICも行ったのですが、すごい雨で負けて結構な赤字になってしまいました。でも、オーナーが「名誉を取るためなら、お金は惜しくない。それまで充分稼いでくれているから」と言ってくださったんです。そう言ってくださったからこそ行くことができました。
秋は富士Sを勝ってから中3週とローテーションがキツかったんですが、「距離的にここ」と考えていたので、香港カップへ出走し、勝つことができました。
――当時は香港など海外遠征する馬はどのくらいいたのでしょうか?
森師 まだそんなにいなかったですね。お金もかかりますし、失敗したら赤字なので、やっぱりオーナーの理解がないと難しいです。招待レースでも通訳を連れて行くと出張費用がかかります。うちの厩舎は絶対に連れていかず、現地でお願いしています。厩務員も海外の環境に慣れないといけないですから、専属通訳がいないとがんばって英語を喋るようになります。
その厩舎スタッフの旅費が以前はドバイなら1頭につき2人まで支給がありましたが、今は1頭に対して1人だけなので、切り詰めて最低限の人員で行くようにしています。そこはやっぱりオーナーの負担にならないように、赤字を出すわけにはいきませんから。・・・
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