ウイニング競馬の態勢を大幅に見直しに

2020年04月18日(土) 12:00

現場が“密”な状態にならないようにすることを主眼に

 ついに今週は、緊急事態宣言対象地域が全国に拡大されました。ゴールデンウィークが終わる5月6日まではとにかく耐えるしかありません(それでウイルスとの戦いが終わるとは誰も考えていないと思いますが)。

 そして、きょう18日の「ウイニング競馬」も、態勢を大幅に見直した上でお送りすることになりました。

 まず、中山競馬のレースやパドックの映像は、公式のもの(グリーンチャンネルで流れているものと同じです)を使用します。そして、司会席はテレビ東京の本社スタジオに、実況席は同じくナレーション収録用のブースに設けます。つまり、競馬場には誰も行かないわけです。

 これによって、ふだんの中継で使っているカメラの台数を6〜7台から3台に削減します。さらに18日は中山グランドジャンプの日。当初はいつもより多い10台のカメラを駆使して中継する予定でした。それが3台になるということは7割の削減。それぞれのカメラにカメラマンが付くので、人と人との接触をその分だけ減らすことができます(“目標”とされている8割減には届きませんが)。

 先週の番組でもそうだったように、大久保洋吉先生はご自宅から出演。私の仕事場となる実況席も、競馬場では司会席に隣接しているベランダ席からナレーションブースに移り、実況アナウンサーは“隔離”されます。

 とにかく、大人数が現場に向けて移動し、それぞれが接触しないこと、現場が“密”な状態にならないようにすることを主眼にした対策です。これで万全とは言えませんが、局のスタッフができる限りのことをいろいろ考えた末に、こういう態勢で放送することになった次第です。

 先週の当コラムで、公式情報をすばやく入手してお伝えできるようにするには、誰かが競馬場にいなければならない、と書きました。でも、その原則を度外視しなければならないほどの非常事態。致し方ありません。

「ウイニング競馬」では、もうすでにトレセン取材を取りやめています。ジョッキーや調教師、馬主の方々の素顔やナマの声をふんだんに織り込みながら、競馬の楽しさをお届けする、というのがいわゆる“番組のコンセプト”。トレセン取材ができないのはなんとも歯がゆいところではありますが、なにしろこの状況なのでどうかご容赦ください。

 というわけで、とりあえずきょうのレース実況は閉ざされた小部屋の中で付けることになります。モニターテレビに映らないところは、どうなっているかわかりません。しかもメインレースは中山グランドジャンプ。オジュウチョウサンの快挙がかかっていることもあって、恥ずかしながらこの私、ヘンに緊張しています。

 毎度書いていることですが、いつ状況が急変してもおかしくありません。無事に今週の競馬が開催できるよう、祈っています。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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