【福島牝馬S】中山牝馬Sと強烈にリンクするレース

2020年04月24日(金) 18:00

別路線組の伏兵を上手に絡めたい

 第1回のこの重賞を勝ったのは、中山牝馬Sの勝ち馬オースミコスモだった。距離は同じ1800m。コース形態もそう変わらない同じ右回り。直線の長さ約300mも同程度。

 福島牝馬Sは、3月の中山牝馬Sと強烈に結びついている。過去10年のうち8回まで、中山牝馬S出走馬が「1着、2着独占」のパターンを繰り返している。ただし、「ハンデ戦→別定戦」に変化するので、さすがに同じ組み合わせはない。

 それ以外の2回は、1-3着馬がみんな別路線で、3連単599,360円、735,970円という非常に難しい結果。今年も有力馬は中山牝馬S組で、別路線組は伏兵が多い。うまく両者をアレンジしたい。

 ベテラン7歳のデンコウアンジュ(父メイショウサムソン)は、このレースを過去3年、4着(8番人気)→3着(4番人気)→1着(4番人気)だった。

 6歳の昨年でさえ、もう重賞制覇は苦しいのでは…と思われたが、中山牝馬S4着(今年も4着)のあと2馬身半差で圧勝してみせた。さらに7歳の今春は、愛知杯を56キロのハンデ頭で勝っている(9番人気)。明らかに4-5歳時より強くなっている。

 中山牝馬Sで先着を許した3頭は順に「2、4、1」キロ増なのに、この馬の負担重量はここ3戦より1キロ減の55キロ。中山牝馬Sで先着を許した4歳フェアリーポルカ、エスポワール、5歳リュヌルージュにはさすがに若さではかなうべくもないが、3頭がみんな初コースなのに対し、デンコウアンジュはコース巧者である。

 種牡馬メイショウサムソン産駒はデンコウアンジュだけでなく、18年の勝ち馬キンショーユキヒメ、17年の2着馬フロンテアクイーン、福島テレビOPのマサハヤドリームなど、人気薄の伏兵がローカルの福島で一変する傾向がある。メイショウサムソンの重賞勝ち馬はごく少ないが、ルミナスウォリアーの函館記念勝ちも夏のローカル戦だった。

 5歳秋からコンビを組んだベテラン柴田善臣騎手とは、なぜか絶妙にウマが合う。重賞2勝を含み【2-0-1-5】。福島と小倉で勝っている。

 7歳牝馬ではダメかというと、このレースにはトップクラスの牝馬は出走しない。2007年に9番人気で勝ったスプリングドリュー、2009年3着のヤマニンメルベイユ、2017年の勝ち馬ウキヨノカゼが7歳牝馬だった。過去16回通算【2-0-1-11】。

 東京のオアシスSは5歳ゴライアス(父ゴールドアリュール)がきわめて相手に恵まれた。母の半兄ブルーコンコルドはダートで13勝(芝2勝)も記録し、GI格のダート重賞を7つ制している。タフな牝系だけに、この馬もこれから本格化して不思議ない。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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