無観客開催でも売上は増加傾向!でも、心配は尽きない…

2020年05月02日(土) 12:00

最近は前年を上回る売上を記録する日も

 2月29日の第2回中山、第1回阪神、第1回中京競馬各初日から始まったJRAの無観客開催は今週で10週目を迎えます。

 それでも馬券は驚くほどよく売れています。無観客開催が始まってから先週までの売上前年比をまとめてみました。

☆第2回中山9日間=83.5%、第3回中山8日間=96.8%、第2回東京初日=104.5%、同2日目=103.9%

☆第1回阪神9日間=81.5%、第2回阪神8日間=92.5%、第3回京都初日=113.6%、同2日目=78.3%

☆第1回中京8日間=91.6%

☆第1回福島初日=102.0%、同2日目=99.8%、同3日目=117.1%、同4日目=104.9%、同5日目=130.7%、同6日目=109.1%

 このうち、第2回中山の前年売上には去年12月21日の第5回中山7日目、第1回阪神のそれには去年12月28日の第5回阪神9日目の数字が含まれています。また、第3回中山は雪で中止→後日続行となった分がありました。

 まとめてみれば一目瞭然。当初は前年比80%台に落ち込んだものの、次開催からは概ね90%台に回復。さらに最近は前年を上回る日が多くなってきています。

 新たに在宅投票を始めた方やその金額を増やした方が大勢いらっしゃるからこその結果でしょうが、それにしてもこの“伸び”は驚異的です。

 JRAだけではありません。最近目立った話題をまとめてみます。

☆4月15日川崎競馬、クラウンカップの売上が前年比125.1%、当日の売上が同114%を記録。

☆4月30日大井競馬、羽田盃の売上が同131.7%、当日の売上が同138.3%を記録。

☆4月24日ばんえい帯広競馬、年度初日の売上が5億9233万8900円に達し、2007年4月から始まった帯広単独開催での最高発売額を記録(これまでの最高額は去年12月30日の4億2725万9800円。1億6500万円強もの大幅更新)。

 いやぁもう、このご時世にあって、想像を絶する数字です。

 でも、心配性の私はこれがいつまで続くのかと気をもんでいます。だって、世の中の景気は100年ほど前にあった世界大恐慌の時くらい悪くなっているわけでしょう?

 多くの人が減収になったり、職を失ったりしているのですから、馬券購入に充てる金額を減らさざるを得ないファンも少なくないと思います。

 さらに、馬主さんの中にも、“本業”のほうが大変な状況で、高額な競走馬を所有するどころではなくなっている方が出始めてもおかしくありません。

 馬券売上の回復、前年比増は、競馬に関わる仕事をしているわれわれにとっては喜ばしいニュースです。なのに、それを素直に受け止められなくなっているのは、頭の中が“超悲観的”になっているせいかも。もっと前向きにならなきゃいけませんか?

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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