競馬場開放はいつ?

2020年05月26日(火) 18:00

観客を入れての競馬開催にはさまざまな障壁が

 今週末の日本ダービーは無観客での開催となり、同じく日曜日の佐賀から始まる地方競馬のダービーシリーズも残念ながら当面は無観客の開催となりそう。ひとまず緊急事態宣言が全国で解除となって、いつから競馬場で競馬を見ることができるのだろう。

 といったところで、長崎県のボートレース大村では22日からファンを入れての開催が行われたことがニュースとなっていた。プロ野球もJリーグもまだ再開されていないこの時期にということではちょっと驚いた。

 さまざまなスポーツや競技が休止や無観客となって以降、公営競技で観客を入れての開催は全国で初だそうだ。英断でもあり、屋外競技とはいえクラスターが発生する可能性はゼロではなく、判断する責任者は勇気がいったことだろう。

 長崎県のコロナ陽性者は4月17日を最後に出ておらず、累計17名の陽性者のうち1名は死亡したが、ほか16名は退院もしくは療養期間を経過。つまりデータ上では陽性患者はゼロになり、十分に日数も経過したということでの判断だったと思われる。

 ボートレース大村の公式サイトによると、マスク着用、検温はもちろんのこと、身分証を提示した上で入場者は長崎県内在住者に限り、有料席も無料席も間隔を確保するため席を半数に減らしたとのこと。また、6月4日から9日のGI周年競走は多数の来場が想定されるため無観客での開催となる。

 ファンを入れるようになっても当面の間は人数制限が必要と思われ、なるほどデータ的に感染者がいなくなった県内在住者に限るというのは有効な方法のように思われる。

 ちなみにボートレース大村の観客を入れての初日の入場人員は573人。現地に行ったことがないので施設がどのくらいの大きさなのかはわからないが、なるほどそのくらいの人数ならあまり“密”にはならないだろうと思われる。

 さて、競馬ではどうだろう。ボートレース大村の例を見ると、中央競馬より地方競馬のほうがファンを入れての開催は可能性がありそうに思われる。まず思いつくのは、陽性者がこれまでひとりも出ていない岩手県だろう。といったところで、地方競馬では主催者ごとの判断がなされるのかどうか。

 万全を期すならば、競馬場の施設にもよるが、密閉空間になりやすい指定席は閉鎖し、屋外の座席のみ使用という対応はできそうだ。ただ人数制限をしても、雨の日などはスタンド内に密集せざるをえないので、その対策は必要になるだろう。天候によって入場の可・不可を判断するのでは、その情報が行き渡らず混乱が起こる可能性はある。

 さらに対応が難しそうなのが交通機関。車での来場がほとんどという競馬場なら問題にならないだろうが、公共交通機関での来場者が多い競馬場では、メインレース後、最終レース後の混雑が心配される。そういう意味では普段から電車などでの来場を推奨している中央競馬は、地方競馬よりも対応が難しいかもしれない。

 またボートレース大村のように入場人員を制限するにしても、検温したり、身分証明書を確認したりで、それに対応する係員と、それに要する時間はかなりの負担となりそう。また馬券発売機やさまざまな施設のこまめな消毒作業も必要になるだろう。

 さて、ダービーシリーズだが、来週の金沢、大井、盛岡あたりはまだ無観客が続きそうだが、後半、6月14日の高知、18日の門別あたりは、公共交通機関の混雑とは無縁なだけに、そろそろファンを入れての開催とはならないだろうか。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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