夏の新潟芝コースで好成績の産駒とは…

2020年07月20日(月) 18:00

先週の血統ピックアップ

・7/19 函館記念(GIII・函館・芝2000m)

 中団追走から直線で伸びたアドマイヤジャスタが重賞初制覇を飾りました。2歳時にGIのホープフルSで2着となった実力馬で、アドマイヤラクティ(コーフィールドC、ダイヤモンドS)の4分の3弟にあたる良血。クラシックでも期待されたのですが、スランプに陥り1年以上にわたって大敗が続いていました。

 父ジャスタウェイは現役時代にドバイデューティーフリー(首G1・芝1800m)を6.1/4馬身差で圧勝し、ワールドサラブレッドランキング(2014年・130ポンド)で世界ナンバーワンとなった名馬。種牡馬としては産駒がデビューしてから1年半近く重賞勝ち馬が出ず、評価を下げていたところがあったのですが、昨年暮れの阪神開催でロードマイウェイ(チャレンジC)が初めて重賞を勝ってから、半年余りの間にアウィルアウェイ(シルクロードS)、エーポス(フィリーズレビュー)、そして本馬と、計4頭の重賞勝ち馬が出ています。

 ハーツクライ系だけあって早くから活躍するタイプではないので、力を付けていくまで少々我慢が必要です。今回は洋芝が合っていたこと、展開が向いたことに加え、晩成型の資質が開花しつつあることも見逃せないのでは、と思います。

・7/18 函館2歳S(GIII・函館・芝1200m)
 好位追走のリンゴアメがゴール前の競り合いをクビ差制しました。父マツリダゴッホはサンデーサイレンスのラストクロップで、現役時代に有馬記念など6つの重賞を制覇。そのすべてが中山コースでのもので、減速せずにカーブを曲がる絶品のコーナーリングがそれを可能にしたといえるでしょう。中長距離タイプだった自身とは違い、産駒は意外に短い距離に向き、2歳戦も苦にしません。

 ただ、本馬は母の父がスプリンターズSを制したマイネルラヴで、3代母はスプリンターズS(当時はGI級の競走ではありませんでした)を連覇したメイワキミコ。こちらのスピードが表れているように思えます。4代母ハワイアンドーンは今は無き明和牧場が輸入した繁殖牝馬で、皐月賞馬ハワイアンイメージなど多くの活躍馬を出しました。明和牧場の土地と建物を買い取ったのがリンゴアメを生産したビッグレッドファーム。牧場の経営者と名称は変わっても、リンゴアメの牝系は50年近くにわたって同じ場所に根付いています。

今週の血統注目馬は?

・7/26 知床特別(2勝クラス・札幌・芝1200m)

 登録馬の父のなかで札幌芝1200mに強い種牡馬はロードカナロア。通算34戦8連対(連対率23.5%)という成績は、2010年以降、当コースで産駒が20走以上した48頭の種牡馬のなかで第5位に相当します。当レースにはドゥシャンパーニュとフォレブルートの2頭が登録しています。なかでも後者は昨年夏に当コースで二度走っていずれも2着。滞在競馬が得意なので今年もいいところがありそうです。

今週の血統Tips

 今週から新潟開催が始まります。梅雨明けはまだですが、水はけに定評のある馬場なので、多少雨が降っても芝コースはスピードレースになるものと思われます。芝は8つの距離で行われますが、なかでも施行回数が多いのが芝1600、芝1800、芝1400mの3つ。それぞれの連対率ベスト3は以下のとおり(夏の新潟限定、2010年以降)。

芝1400……ディープインパクト、ヨハネスブルグ、マンハッタンカフェ
芝1600……ローエングリン、ロードカナロア、ディープインパクト
芝1800……キングカメハメハ、アグネスタキオン、ルーラーシップ

 芝1800mのキングカメハメハは連対率29.8%。産駒は104回走っているのできわめて優秀です。総合的にはディープインパクトとロードカナロアの2頭が素晴らしく、ノヴェリスト、ヨハネスブルグ、ヴィクトワールピサなども上々の成績です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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