英国の夏を彩る「グロリアス・グッドウッド」が開催

2020年07月29日(水) 12:00

ナッソーSはもちろんだがサセックスSにも注目

 昨日から始まった英国の夏を彩る名物開催「グロリアス・グッドウッド(7月28日〜8月1日)」は、ディアドラが連覇をかけて出走する明日(30日)のG1ナッソーS(芝9F197y)を含めて、今年は例年以上に好カードが目白押しだが、中でも白眉となりそうなのが、日本時間の今夜23時15分に発走予定のG1サセックスS(芝8F)だ。

 先週土曜日のG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)の、いわばマイル版に相当するレースだが、3歳世代が不在だった“キングジョージ”と異なり、サセックスSには今春の3歳3冠初戦を制したバリバリのクラシックホースが2頭いて、これを古馬の超A級マイラーが迎え撃つという、痺れるようなメンバー構成となっているのだ。

 ブックメーカー各社がいずれも3倍〜3.25倍のオッズを掲げて1番人気に推すのが、愛国のジャー・ライオンズ厩舎が送り出すシスキン(牡3、父ファーストディフェンス)である。

 2歳時は4戦し、G1フェニックスS(芝6F)、G2レイルウェイS(芝6F)の2重賞を含む無敗の4連勝をマークしたのがシスキンだ。今季初戦となったのが6月12日にカラで行われたG1愛二千ギニー(芝8F)だったのだが、自身が6Fの経験しかなかったことに加えて、父はG1フォアゴーS(d7F)勝ち馬で、母バードフロウンの現役時代唯一の勝ち星も7F戦という血統背景も相まって、8Fの距離に対する不安を囁かれながらの出走だった。だが、シスキンはここを1.3/4馬身差で快勝。それも、直線の勝負どころで馬群に閉じ込められて進路がなく、隙間をこじ開けるように抜け出すという大向こうを唸らせる勝ち方を見せ、もともと高かった評価が更に上昇することになった。

 今年のG1英二千ギニー(芝8F)勝ち馬カメコ(牡3、父キトゥンズジョイ)の陣営から、シスキンがいち早く出走を表明していたサセックスSにぶつけるとの発表があったのが7月16日のことで、この報を耳にした世界中の競馬ファンが大歓声をあげたことはいうまでもない。

 2歳時にはシスキン同様に4戦し、G1フューチュリティトロフィー(AW8F)を含む2勝をマークしたのがカメコだ。今季初戦となったのが6月6日にニューマーケットで行われたG1英二千ギニーで、中団待機から鋭い末脚を繰り出し、オッズ1.83倍の大本命に推されていたピナトゥボ(牡3、父シャマーダル)らを差し切って優勝。2冠を目指して出走した7月4日のG1英ダービー(芝12F6y)で4着に敗れると、マイル路線への回帰を決断してここへ矛先を向けてきたのだ。ブックメーカー各社は同馬を、オッズ5倍〜5.5倍の3番人気に推している。

 3歳世代からはこの他、G1英二千ギニー2着馬で、続くG1セントジェームズパレスS(芝7F213y)でも3着に好走したウィチタ(牡3、父ノーネイネヴァー)、G1愛二千ギニー2着馬で、続くG1英ダービーでは8着に敗れてマイル路線に戻ってくるバチカンシティ(牡3、父ガリレオ)らがスタンバイしている。

 一方、2頭の3歳クラシックホースの間に割って入るようにして、2番人気(オッズ3.5倍〜3.75倍)に推されているのが、1つ上の世代のモハーザー(牡4、父ショーケーシング)だ。

 2歳時は3戦し、G3ホリスヒルS(芝7F)を含む2勝を挙げ、翌春のクラシック候補となった同馬。3歳緒戦のG3グリーナムS(芝7F)でも勝利を収めたのだが、その後、右前脚に骨挫傷を発症してクラシックを全休。半年の休養をはさんで出走したG1クイーンエリザベス2世S(芝8F)で5着という悪くない競馬をし、3歳シーズンを終えている。今季初戦となったロイヤルアスコットのG1クイーンアンS(芝8F)では7着と期待を裏切ったが、7月11日にアスコットで行われたG2サマーマイルS(芝7F213y)では変わり身を見せ、2着以下に3.3/4馬身差をつける快勝。大きな期待を寄せられた素質馬の歯車が、ようやく噛み合ってきたことをアピールした。

 4歳世代には更に、サーカスマキシマス(牡4、父ガリレオ)という大駒も控えている。

 3歳だった昨シーズンは、G1セントジェームズパレスS、G1ムーランドロンシャン賞(芝1600m)という2つのマイルG1を制覇。なおかつ、昨年のこのレースでは、同世代のトゥーダーンホットに1/2馬身差の2着に健闘している。今季初戦となったのが、ロイヤルアスコット初日(6月16日)に組まれたG1クイーンアンSで、ここをきっちりと勝利して3度目のG1制覇を果たしている。前走の勝利によって、この路線における古馬の中核となる存在であることを存分に知らしめての参戦となるサーカスマキシマスが、オッズ7.5倍〜8倍の4番人気というあたりに、今年のサセックスS出走馬の層の分厚さを物語っている。

 日本時間の今夜発走の時を迎えるサセックスSに、ぜひご注目いただきたい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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