徐々に進められる入場再開

2020年08月25日(火) 18:00

PCR検査を徹底し開催は続けていくべき

 先週の当コラムで、今年の2歳馬が最後の世代となるサウスヴィグラス産駒の活躍について取り上げたところ、まさにコラムが公開された当日、金沢の読売レディス杯を勝ったのも、父サウスヴィグラスのアークヴィグラスだった。

 アークヴィグラスは一昨年2歳時、JpnIIIのエーデルワイス賞や東京2歳優駿牝馬など重賞5連勝と圧倒的な成績で2歳牝馬チャンピオンとなった。当然3歳以降の活躍も期待され、東京プリンセス賞2着などがあったものの、その後は勝ち星から遠ざかっていた。そして今回の読売レディス杯が門別に戻っての3戦目。「コーナーを4つ回る1500m戦、アークヴィグラスに合う条件を探したらここだった」と小野望調教師。この暑い時期に涼しい北海道から遠征というリスクを背負いながら、会心の勝利となった。

 前回の本コラムでも触れたとおり、サウスヴィグラス産駒ではヒガシウィルウィンに代表されるように、晩年の産駒では中距離での活躍も目立つようになった。それだけでなく、産駒の息の長い活躍も印象的だ。一般的にダート短距離といえば早熟というイメージだが、サウスヴィグラス産駒はそうした型にはまらない活躍が、種牡馬として大成功した要因だろう。代表産駒の1頭、ラブミーチャンも3歳後半から4歳前半にかけてやや落ち込んだが、6歳になってダートグレード2勝を含む重賞4連勝という活躍を見せて引退した。アークヴィグラスにもそうした2度目のピークがやってくるかもしれない。

 さて、本題。日本の競馬は中央でも地方でも、ここまで無観客ながら新型コロナの影響で取り止めになることなく、滞りなく開催が続いてきたが、ついにというか、とうとうというか、大井の調教師、船橋の騎手から陽性者が出た影響で、8月24・25・26日の川崎開催の取り止めが発表された(原稿執筆時点では、27日以降については未定)。

 これについては、当然のことながら、誰がということで責められるべきではない。プロ野球やJリーグがそうであるように、関係者のPCR検査を徹底した上で、開催は続けていくべきだろう。

 一方で、地方競馬では徐々に観客の入場が再開されている。7月11日のばんえい帯広、12日の盛岡に続き、8月には浦和、プレオープンを経た上で9月には大井と川崎で、人数を制限した上で入場を再開予定。ということは、2週前の本欄でもお伝えしたとおり。

 そして名古屋競馬でも、8月26日から名古屋競馬場内での地方競馬の馬券の発売を再開し、9月1日から本場開催での入場再開が発表された。

 愛知県では県独自に発表されていた緊急事態宣言の解除が24日に正式決定されたことで、競馬場でも入場再開となったのだろう。

 地方競馬の主催者トップ(管理者)は、その多くが道県の知事(大井は東京都ではなく23区)であり、入場を再開するかどうかは知事の判断によるところが大きい(ということを、ある主催者の関係者から聞いた)。

 南関東では、ひとまず指定席のみ人数を限っての入場再開だが、ばんえい、岩手、さらに今回の名古屋では、指定席限定ということもなく具体的な人数の制限もない。とはいえいずれも「混雑状況によっては入場を制限する」という注意はなされている。

 さらに名古屋競馬では、厚生労働省が提供する接触確認アプリ『COCOA』利用のお願いと、併せてエチケットカードに必要事項を記入しての提出も求められている。

 一般社会でも経済活動の再開が徐々に進められているように、感染拡大防止に最大限努めながら、競馬場(他の公営競技も)への入場再開は進めていくべきだろう。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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