懐かしの、名古屋みそかつ

2020年09月29日(火) 18:00

未紹介だった“名古屋競馬場のエースで4番”

 前回は、ファンの入場再開に際しての名古屋競馬場の感染拡大防止のとりくみのひとつ『エチケットカード』を紹介した。

 が、個人的にはコロナ以降でファンが入った競馬場が初めてだったということもあり、楽しみにしていたのは、競馬場メシ。誰が言ったかギャンブルフードとも言うし、スマートな言い方では競馬場グルメ。

 しかし心配だったのは、コロナによる約半年にも及ぶ無観客開催によって、閉店してしまったお店もあるのではないか、ということ。果たして、全部を見て回ったわけではないが、入場門を入ってパドック側、エビフライの『当り屋』、きしめんの『勝や』、みそかつ、どて煮の『大島屋』、そしてパドックとは反対側、焼そば、ネギマの『松よし』、串かつの『すみれ』、いちばん奥、ラーメンの『松井屋』も、みな健在。スタンド1階のレストラン『あらぶ』も営業しているようだった。

 ご存知のとおり、世間ではコロナの影響で多くの飲食店が廃業を余儀なくされている。競馬場はといえば、コロナとは関係ない以前から、そもそも馬券の発売がどんどんネットにシフトし、入場者が減っている。加えて競馬場内の飲食店は高齢化もあり、ここ何年かで全国の地方競馬では名物グルメのお店が残念ながらいくつも閉店している。

 ちなみにこのコラムで前回競馬場グルメを取り上げたのはいつだったかと振り返ってみたところ、無観客になる前なのは当然だが、2月4日付の園田競馬場で、古くからのお店の2店舗が閉店したことをお伝えしたのが最後だった(こちら)。

 そういうわけで、久しぶりにファンのいる名古屋競馬場を訪れ、ほとんどのお店が無観客になる前と同じように営業しているのを見て、ちょっと安心したのだった。

 そして何を食べようか、とはほとんど考えることもなく、名古屋といえば『大島屋』のみそかつ、でしょう。

 そういえば、このコラムでは名古屋競馬場のエースで4番ともいえる、みそかつをまだ紹介していなかったのだった。

 コロナ以前どころか、おそらく今年初めての大島屋さん。向かい合うテーブルには、しっかりと透明のアクリル板がしつらえられ、以前ならテーブルに置かれていたメニューが、そのアクリル板に貼り付けられていた。

 大島屋さんのメニューには、実はみそかつはない。『とんかつ』で、「みそ」か「ソース」かを選ぶことができる。さらに、『とんかつ・御飯』(いわゆる定食)では、貝汁か豚汁かを選ぶことができる。ここは迷わず、「みそ」で「豚汁」。それがこれ!

大島屋のとんかつ・御飯。選択は、「みそ」で「豚汁」

 とんかつは、もちろんアツアツの揚げたて。ここのとんかつの特徴は、衣が限りなく薄く、そしてカリカリに揚がっていること。衣でゴマカシがきかないので、当然のことながら豚肉は見事な厚みがある。キャベツには、しそドレッシングか、マヨネーズかを選べるし、マカロニサラダが付いているのもうれしい。豚汁も、もちろんボリュームたっぷりだ。

 これが今どき、990円ですよ、奥さん!

 たしか10年以上前でも920円だったような気がするのだが、その後に消費税の増税があり、物価も上がっているはずなのだが、それでいてまだ1000円でお釣りがくるという。この良心的な価格設定は、あっぱれ!でしょう。

 おいしい、そして満足。なのは当然だが、競馬場メシは懐かしい、と思いながら、ありがたくいただいた。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

関連情報

新着コラム

コラムを探す