赤岡騎手の14年連続200勝という記録

2020年10月27日(火) 18:00

開催日の少ない高知での達成にあっぱれ!

 10月25日、高知の赤岡修次騎手が今年地方200勝目を挙げ、14年連続年間200勝という新記録達成というリリースがあった。

 まず何より、怪我がつきものの騎手として、何年にも渡って“連続”で、という記録はすごい。まぎれもない、あっぱれ!だ。

 年間何勝とか、通算何勝という記録はわかりやすいが、年間200勝の連続記録というのはちょっと気づきにくい。赤岡騎手がそれを意識したのは2年前だったという。「2年前(2018年)に200勝が12年連続となったときに、倉兼騎手から『200勝の連続記録って何年くらいなんだろう』と言われ、調べたところ佐々木竹見さんの13年連続(1964〜76年)ということがわかりました」と。

 じつに半世紀近くぶりに更新された記録ということになる。

 ただそれまでは年間200勝という数字をそれほど意識していたわけではない。「いつも勝てる馬ばかりに乗れるわけではないので、年間200勝というのは、狙って勝てる数字ではないです。特に南関東に(期間限定で)行くようになってからは、1年のうち3〜4カ月も高知を空けるわけですから」。

 赤岡騎手が初めて年間200勝に到達したのは2007年のこと(204勝)。2007年といえば、赤岡騎手がはじめてワールドスーパージョッキーズシリーズに出場して3位タイの表彰台に上り、まさに本人が「騎手としての人生が変わった」という年。これまで自身の年間最多勝は2009年の257勝。南関東で期間限定騎乗するようになったのは2015年からで、その後の年間勝利数は、15年=229勝、16年=206勝、17年=215勝、18年=213勝、19年=211勝と、記録を意識せずともコンスタントに年間200を超える勝利を続けてきた。

 今年はコロナ禍で半年ほど遠征を自粛することになったが、「もともと体調維持とコンディションの調整がギリギリになっていたので、今年は最初から南関東には行かない予定でした」とのこと。そしてコロナによって重賞でのスポット参戦も自粛することになり、図らずも地元高知に専念することになった。南関東での期間限定騎乗と重賞のスポット参戦で休みなく騎乗して、調教もして、というのは相当に厳しかったようだ。それゆえ今年は、近年より早い時期での年間200勝達成となった。

「記録を意識してからは精神的にもキツかった」という状態が2年近く続いていたことになる。それゆえ「数字を気にして乗るのはもういいです、これで最後です」と語る。年間200勝というのは、それほど尋常ではない数字なのだろう。

 ちなみに、地方競馬での年間200勝の記録を調べたところ、2001年に引退した佐々木竹見さんが13年連続14回、2019年に引退した石崎隆之さん(実際に騎乗したのは2018年まで)が9年連続15回、的場文男騎手が11年連続11回といったところ。言うまでもなくいずれも南関東のトップジョッキーで、その記録を週に2度ほどしか開催がない高知所属で更新したことは、あっぱれ!というほかない。

 赤岡騎手の記録を越えられそうな現役騎手を調べてみたところ、佐賀の山口勲騎手が2009年から昨年までに年間200勝を10回記録しているが、2014年に189勝という年があった。連続で、という記録がいかに難しいかがわかる。

 赤岡騎手本人は「もう数字は気にしない」というが、野次馬的な見方では、まだまだ達成できそうな記録はある。10月25日現在、地方通算3979勝で、通算4000勝はすでに見えている。前述のとおり今年は高知に専念することになったぶん、今年ここまでの勝率は34.6%と全国でダントツ。2位の吉村智洋騎手(兵庫)が28.6%(いずれも地方のみの数字)と6ポイントも差をつけているので、最高勝率もまず逆転されることはないだろう。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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