2020年10月30日(金) 18:00
1800mの札幌2歳Sを2歳コースレコードの1分48秒2で乗り切ったソダシ(父クロフネ)、同じく同タイムで2着したユーバーレーベン(父ゴールドシップ)のレベルは高い。
牝馬で1800mの札幌2歳Sを3着以内に快走した馬は多くはないが、2015年3着クロコスミア(3年連続エリザベス女王杯2着)、2014年3着レッツゴードンキ(桜花賞1着)、2013年1着レッドリヴェール(阪神JF1着、桜花賞2着)、2010年2着アヴェンチュラ(秋華賞1着)…など、のちのGI級が並ぶ。この距離になって間もない2000年には、3着テイエムオーシャンがのちに桜花賞、秋華賞の2冠馬に輝いている。
札幌2歳Sはペースがきつかったため、最後の1ハロンは13秒0に落ち込んだが、これは仕方がない。洋芝でレースの1600m通過は1分35秒2だった。
白毛のソダシの一族にはダート巧者が多く、男馬にも間違われるこの牝馬は、迫力にあふれるが、母の父キングカメハメハ、祖母の父サンデーサイレンスともに大種牡馬。父クロフネの産駒は、それが男馬だとちょっと怪しいが、牝馬ならホエールキャプチャ、アエロリット、カレンチャン、スリープレスナイト…など、スピード十分の芝向きのGI馬になれる。ノームコア、日曜の天皇賞(秋)のクロノジェネシス姉妹は、母の父がクロフネになる。超高速決着はともかくソダシに芝の時計勝負に対する不安は少ない。
ソダシを評価するとき、互角以上に評価したいのがクビ差2着だったユーバーレーベン。出負けして前半は最後方にいたが、1000mを通過するあたりから一気に進出し、わずか200mばかりの間に先頭集団に並びかける破天荒なレースを展開している。3コーナー過ぎではほとんど並んでいたから、勝ち馬の上がり36秒7に対し、2着のこの馬も同様の36秒6にすぎないが、道中であまりに一気に脚を使ったため、直線に向くとソダシに突き放されかけている。だが、最後は勝負根性満点にもう一度脚を使ってクビ差だけ。
白毛のソダシの粘り強いレースも光ったが、ユーバーレーベンのレースの中身は少しも見劣らなかった点に注目したい。当時は2カ月半ばかりのあいだに、馬体重は20キロ増だった。追いかけた最終追い切りでは少し見劣ったが、脚さばきは乱れていない。札幌の芝での追い切りは動いたように、ウッドの調教は動かないのだろう。祖母マイネヌーヴェルは2003年のフラワーC勝ち馬。当時はオープン特別だったホープフルSの勝ち馬でもある。
父ゴールドシップの産駒は、ブラックホール、サトノゴールド、そしてこのユーバーレーベン。洋芝の札幌2歳Sに合うのは確かだが、牝馬のこの馬は時計の速いレースにも十分に対応できる鋭さを秘めるはずだ。
前回、実際に負けているソダシ、桜花賞2着の母クルミナル譲りの切れを持つククナ、サフラン賞を好タイム2着のテンハッピーローズ、キャリアのあるヴァーチャリティなど強敵は多いが、ユーバーレーベンから入りたい。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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