JRA2歳レコードタイの勝利 今後の距離延長は気性との戦い

2020年12月21日(月) 18:00

先週の血統ピックアップ

・12/20 朝日杯フューチュリティS(GI・阪神・芝1600m)

 3番手につけたグレナディアガーズが残り200mで先頭に立ち、馬群を縫って差を詰めたステラヴェローチェを3/4馬身抑えて優勝しました。勝ちタイム1分32秒3は阪神競馬場の2歳コースレコード。2013年にミッキーアイルが樹立したJRA2歳レコード(京都競馬場)と並びます。未勝利戦を勝ち上がったばかりの馬が戴冠したのは2000年のメジロベイリー以来で、50年前までさかのぼっても他にアイネスフウジン(1989年)がいるだけです。

 父Frankelは大種牡馬Galileoの最高傑作で、現役時代はイギリスのマイル路線を中心に走って14戦全勝(G1は10勝)の成績を残しました。現地でもクラックスマン(英チャンピオンSなどG1を4勝)、アナプルナ(英オークス)、ロジシャン(英セントレジャー)など多くの活躍馬を出していますが、日本ではソウルスターリング(オークス、阪神JF)、モズアスコット(安田記念、フェブラリーS)、そして本馬と、すでに3頭のGI馬が誕生しており、堅い芝への適性がうかがえます。

 母はブリーダーズCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7ハロン)の勝ち馬。母が北米のダート重賞勝ち馬、という点はモズアスコットと共通します。父がヨーロッパ血統なので、母方から北米のスピード血統を取り入れることで、時計勝負に強い日本向きのスピードタイプが出やすいということでしょう。距離延長は自身の気性との戦いとなります。

・12/19 ターコイズS(GIII・中山・芝1600m)
 3番手を追走したスマイルカナが直線で早め先頭に立ち、内から迫るアンドラステをハナ差抑えました。1月のフェアリーS以来の重賞制覇で、中山芝1600mでは[3-1-0-0]と抜群の実績を挙げています。

 父ディープインパクト、2代母キャタリナという血統なので、海外でG1を2勝したエイシンヒカリの4分の3同血。エイシンヒカリは逃げ馬で、本馬も逃げ先行タイプなのでタイプが似ています。

 母エーシンクールディは根岸Sで4着となったダートホースで、母の父ディストーテッドヒューマーは一本調子なところがあるパワフルな血統。粘り強さが持ち味なのは母方の血の影響です。酷い道悪だった桜花賞で3着と健闘したようにパワーもあります。開催が進んで少し時計が掛かってきた中山芝コースも合っていました。

今週の血統注目馬は?

・12/26 立志賞(1勝クラス・中山・芝2200m)

 登録馬の父のなかで中山芝2200mに強い種牡馬はルーラーシップとドリームジャーニー。いずれも連対率40.0%。2010年以降、当コースで産駒が20走以上した29頭の種牡馬のなかで同率1位です。

 当レースにはルーラーシップ産駒のカイザースクルーン、タイセイモンストル、そしてドリームジャーニー産駒のジューンバラードが登録しています。実力が拮抗している上に出走枠に潜り込むのが大変ですが、抽選を突破したら注目です。

今週の血統Tips

 有馬記念は、1994年から2003年までの10年間、ロベルト系の優勝馬が7頭誕生しました。ロベルトの血は、瞬発力よりもスピードの持続力を武器とし、荒れ馬場を苦にしないパワー、3000mでもビクともしないスタミナに恵まれています。要するに有馬記念を勝つための特徴をすべて備えているのです。

 近年の有馬記念は馬場管理が行き届いているせいか高速決着になりやすく、スタミナやパワーよりもスピード的な要素の重要性が増しているように感じられます。しかし、今年の中山競馬場は時計の掛かるコンディション。もし、ひと雨降るようなことがあれば、ロベルト、サドラーズウェルズ、トニービン、ステイゴールドといった有馬記念に強い血統を持つ伏兵が躍動するかもしれません。

有馬記念を徹底攻略! 今年1年のGI傾向やイチオシ予想家をご紹介。週末には千鳥ノブや競馬好き芸能人も登場!ぜひご覧ください。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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