【有馬記念】牝馬の年締めくくる“人馬の信頼関係”が生んだ完勝劇

2020年12月29日(火) 18:00

哲三の眼

有馬記念を制したクロノジェネシス(撮影:下野雄規)

27日に行われた有馬記念は、ファン投票1位でレースでも1番人気に支持された、クロノジェネシスが完勝! 同一年春秋グランプリ制覇を決めました。鞍上の北村友一騎手は有馬記念初騎乗V。最後の最後まで記録づくしとなった2020年の有馬記念を振り返ります。

(構成=赤見千尋)

クロノジェネシスと北村君だからこその騎乗

 有馬記念は1番人気に支持されたクロノジェネシスが完勝。鞍上の北村(友一)君の好騎乗も光りましたね。前走の天皇賞・秋の時はゲートで出負けしてポジションが後ろ気味になってしまいましたが、今回はゲートをしっかりと決めて来ました。前回と同じく奇数番で先にゲート入りをしたわけですが、ゲートに入る時の対応がとてもいいなと。

 天皇賞・秋の時には「出てくれよ」という気持ちが強かったと思いますし、今回ももちろん「出てくれよ」なんですが、出るために「大人しくしようね」という、この若干のニュアンスの違いを感じました。前回負けて相当悔しかったと思いますし、その反省を生かして今回はしっかりとゲートを決められた。まずここが一番大事なところで、勝利するための半分以上を占めていると思います。

 ジョッキーは負けることの方が多いですし、上手くいかないこと、失敗することもたくさんあります。僕自身はプロとして、二度と同じ失敗をしない、失敗を繰り返さないということを大事にしていました。もちろん一回でもダメなんですけど、「自分下手くそだな」と反省して次に生かすためにはどうしたらいいか考えました。北村君も同じことを繰り返さなかったですし、それは今回のクロノジェネシスだけではなく、普段のレースからそう感じます。

 クロノジェネシスは調教の動きもすごく良かったですし、ゲートも決まったので、この日の馬場状態の中で一番いいところを通ることが出来ました。そこを選んで走ったというよりも、自然といいところが走れたという流れだったのではないでしょうか。

 これまでのクロノジェネシスは、ある程度好位からの競馬が多かったように思います。でも今回は12番手からの競馬で完勝。今までとはまた違う競馬で、焦らずじっくり乗れていたように見えました。前走・・・

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佐藤哲三

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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