相続とパワハラなどについて

2021年01月14日(木) 12:00

 札幌の実家(土地・建物)の相続や、未支給年金関連の手続きなどのため、今は東京にいる。

 父が亡くなって間もなかったときは、父が退職金をはたいて買った家なのだからあと10年は維持しようと思い、家族にもそう話していた。しかし、この短期間に、風呂場のカランが凍結して破裂するわ、排水管が凍結して水が室内にしみ出てくるわと、寒冷地ならではのトラブルに次々と見舞われ、すっかり参ってしまった。誰も住まなくなるのだから、除雪をきちんとしないと近所迷惑になるし、夏場は夏場で庭木の剪定を業者に依頼しなければならないなど大変なので、父の三回忌をメドに手放すという方針に転換した。

 今、相続の手続きを行政書士事務所に依頼しているのだが、私の考えを伝えると、資産価値が落ちないうちに売却するほうがいいし、紹介できる業者もあるという。しっかりしているなあと思ったが、ものすごくきちんとやってくれる事務所なので、そこが提携している業者なら信頼できるのかもしれない。

 札幌で年金関連の申立書に署名をもらったり、父の病院に残したものを受け取ったり、水道光熱費の引き落としを私の口座に切り替えたりしなければならないなど、細々とした用事があるので、またすぐ実家に行く。

 緊急事態宣言下で動き回るのは嫌なのだが、必要な手続きなので仕方がない。

 さて、残念なことに、新型コロナウイルスの感染拡大がつづくなか、競馬が無観客に逆戻りしてしまった。

 JRAの取材規制はしばらくつづきそうだ。これからは、取材案内のリリースを送ってくれる大井競馬場など、地方競馬を主戦場にしていくことも考えなければならないのだろうか。

 よく、コロナで行動を制限され、ならばと始めた対抗策がヒットにつながることもあるようだ。長い文筆家生活のなかにはこういう時期があってもいいというか、むしろ必要だったと思えるようになるのかもしれない。

 話は変わるが、大塚海渡騎手が、所属厩舎の木村哲也調教師による度重なる暴言、暴行のパワーハラスメントで精神的苦痛を負ったとして、同調教師に850万円余りの損害賠償を求める訴訟を水戸地裁土浦支部に起こしたことがニュースになっている。

 大塚騎手はデビュー3年目の20歳、木村調教師は開業11年目の48歳。

 大塚騎手は、昨年1月に落馬事故を起こしてから休養中で、現在、乗馬や筋トレで復帰を目指しているという。木村調教師は、管理するファインルージュが月曜日のフェアリーステークスを勝ったばかりだ。

 私は大塚騎手と話したことはないが、木村調教師はよく知っている。

 が、係争中につき、どちらかに有利になることも不利になることも言うべきではないので、今は私見を差し控えたい。

 月並みなことしか言えないが、大塚騎手も、木村調教師も、なりたくて就いた職業なのだから、それを少しでも長く、自分らしくつづけられる方策を見つけ出してほしい。こういうときは、感情的になると損をする。自分を生かすことを最優先事項に据えて、考えてほしいと思う。

 netkeiba.comの「お気に入り馬」に登録している3歳牝馬のスンリが、今週の紅梅ステークスに登録しているとメールが来た。

 スンリは、本稿に書いたこともある弁護士馬主の白日光さんの所有馬だ。初めての所有馬、それもこの世代唯一の所有馬がクラシック戦線に乗ろうとしているのだから、素晴らしい馬運である。

 愛馬の走りを、馬主でさえ見に行けないというこの状況が、1日も早く終わることを祈りたい。

 ストレスのせいか、このところ、発毛剤リアップの効果が見えにくくなっている。本稿を書く前、行きつけの理容室で髪を切ってもらったところ、担当のガッキー君も「ウーン、前ほどの進展はありませんね」と残念がっていた。今、6本目のリアップにしてから1週間ほど経ったところである。つまり、使いはじめてから6カ月目に突入したわけだ。気長につづけるしかない。

 いつもながら、とりとめのない話になってしまった。

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島田明宏

作家。1964年札幌生まれ。Number、優駿、うまレターほかに寄稿。著書に『誰も書かなかった武豊 決断』『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』(2011年度JRA賞馬事文化賞受賞作)など多数。netkeiba初出の小説『絆〜走れ奇跡の子馬〜』が2017年にドラマ化された。最新刊は競馬ミステリーシリーズ第6弾『ブリーダーズ・ロマン』。プロフィールイラストはよしだみほ画伯。

関連サイト:島田明宏Web事務所

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