2021年01月22日(金) 18:00
サトノフラッグは中山だけでなく東京でも勝鞍を持っている(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規
1960年の創設から、今年で62回目の施行となるアメリカジョッキークラブカップ。ラップ的には かなりクセのあるレースで、毎年前半は3勝クラスと同じようなペースで推移し、しかも上がりも速くない。要は前に行った馬が有利ということなのですが、それだとレース全体のレベルとしても3勝クラスと同等ということになってしまいます。
いや、むしろ3勝クラスより2勝クラスに近いレベルとさえ考えられるところ、ともかく別定GIIとしては他に類を見ない不思議レース。時期的なものでしょうか。数年に1度、現役最強クラスの超大物も参戦しているレースであるだけに、それら大物の半数以上が敗れている事実も含め、過去にはこれが不思議でなりませんでした。
しかしそれは、中山競馬場への適性を第一義と考えていたからこその難しさであったのかも知れません。実はこのAJCCは、中山競馬場の重賞としては1、2を争う瞬発戦。中山適性よりも東京適性を重視すべきレースだったのです。
データの残っている1988年以降、AJCCの出走馬、延べ373頭を“該当レース前に東京競馬場で勝鞍を持っていた馬”と“東京勝鞍を持っていなかった馬”に分割してみましょう。
■AJCCの出走馬の東京競馬場勝鞍 勝ち鞍あり 244戦【26-22-20-176】勝率11% 勝ち鞍なし 129戦【 5- 9-11-104】勝率 4% 合計 373戦【31-31-31-280】勝率 8% ※各馬該当年AJCC以前の成績を集計 ※東京施行の1996年、2002年AJCC出走馬は除く
“東京競馬場で勝鞍を持っていた馬”が好成績を残していることは一目瞭然ですね。ちなみに今年のAJCCは東京競馬場での勝鞍を持っていない出走予定馬が多く、
アリストテレス ヴェルトライゼンデ サンアップルトン ジャコマル ステイフーリッシュ ソッサスブレイ ナイママ ノーブルマーズ モズベッロ
の9頭が“東京勝鞍なし”ということに。アリストテレスやヴェルトライゼンデといった上位人気も入っているのですが、上記の理由から これらの馬は割り引くべきだと考えています。AJCCは中山適性ではなく東京適性からのスタート。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将のウマい馬券・最終結論に ぜひご注目ください。
■プロフィール 岡村信将(おかむらのぶゆき) 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、 『ラップギア』 と 『瞬発指数』 を構築し、発表。2008年、単行本 『タイム理論の新革命・ラップギア』 の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。 『ラップギア』 は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。
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