2021年07月26日(月) 18:01
▲3億円で落札され1歳部門の最高額タイとなった「ファイネストシティの2020」 (写真提供:日本競走馬協会)
コロナ禍は7月に入って新たな局面に入っている。政府は7月8日、東京都を対象に4度目の緊急事態宣言を発令した。今回は7月12日から東京五輪閉幕後の8月22日までの6週が対象期間で、前回の緊急事態宣言解除から2カ月足らずで逆戻りした形だが、宣言を前後して東京の感染者数は急増し、平日は4桁の日が続いている。全国でも落ち着いたはずの地域で明確なリバウンドの傾向が見えるなど、第5波に入ったのは確実な様相だ。
ただ、今回の宣言は例によって飲食店対策ばかりが前面に出ており、五輪は大半の会場が無観客となったが、多数の外国人が関与せず、「平時」に位置づけられる他のイベントへの規制に大きな変化はなかった。そのため、地方の南関東で本場が無観客となるなどの影響は出ているが、JRAの都内の現金発売施設は営業を続けている。昨年の同時期には中央・地方とも無観客開催が続いており、競馬界の状況は当時よりはマシと言える。
こうした状況を反映して、北海道苫小牧市で7月12、13の両日行われたセレクトセール(日本競走馬協会主催)は、歴代級の大商いとなった。開催24回目で初めて、1歳、当歳両部門の売却総額が100億円(税抜き、以下同)の大台を突破。売却総額は225億5600万円で前年を20.2%も上回り、史上初の200億円超えとなった。
また、売却率は1歳部門が93.4%(上場242頭、売却226頭)、当歳が92.6%(上場230頭、売却213頭)で、当歳部門も初めての90%台。両部門とも売却率は史上最高で、上場馬のうち売れなかったのがたった29頭。平均価格は1歳5147万3451円、当歳5128万1690円で、両日とも5000万円を突破した。こんな競走馬市場は、古今東西の競馬史を見ても「空前」だが、セレクトセールばかりは、「絶後」と言い切れない。・・・
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野元賢一
1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。
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