【京都大賞典】「外から豪脚を使うというよりも…」マカヒキを勝利に導いた藤岡康太騎手の戦略

2021年10月12日(火) 18:00

哲三の眼

藤岡康太騎手、笑顔でガッツポーズ! (C)netkeiba.com

今年の京都大賞典を制したのは9番人気のマカヒキ、アリストテレスと大接戦を繰り広げ見事勝ち切りました。哲三氏も「勝つにはこれしかないという騎乗」と振り返る今回のレース、4コーナー付近での藤岡康太騎手の好判断について分析します。

(構成=赤見千尋)

「ここで勝つのかとびっくりしました」

 京都大賞典は9番人気だったマカヒキが勝利。ゴール前はアリストテレスをハナ差で差し切るという大接戦でしたが、勝ち切ったということがとても大きいです。2016年のダービー馬ですが、同じ年のニエル賞以来勝ち星から遠ざかっていたわけで、正直ここで勝つのかとびっくりしました。(藤岡)康太君はさすがの騎乗でしたね。

 まずライブでレースを見ていた時、3コーナーくらいの雰囲気がすごくいいなと感じていて。ミルコ(・デムーロ騎手)のアリストテレスの外に戸崎(圭太)君のヒートオンビートがいて、その後ろにマカヒキという形で、その時の雰囲気がとても集中して走れているなと。ただ正直、そこまで注目していなかったので、4コーナーを回ってからの部分はレース後改めて確認しました。あそこは外に出せたと思いますが、出さなかったことが好判断だったと思います。

 3コーナーでのいい雰囲気のまま、馬が集中力を切らさず走ることが出来たなと。あそこで手ごたえがいいと外に出したくなる場面ですが、もしも安易に外に出していたら1着はなかったのではないかと想像しています。外から豪脚を使うというよりも、ロスのない競馬をしながら少しでもいい脚を長く使って、という戦略で、馬群の真ん中を伸びて行きました。勝つにはこれしかないという騎乗で、まさに騎手冥利に尽きる勝利だったのではないでしょうか。

哲三の眼

いい雰囲気のまま、馬が集中力を切らさず走ることが出来た (C)netkeiba.com

 今年の京都大賞典は阪神外回りの2400mで行われたわけですが、同じ阪神外回りの2400mで康太君にはよく馬券でお世話になっていたのに、買えなかった自分にがっかりです(苦笑)。重賞で勝つ、復活で勝つというのはファンの方も喜びますし、康太君にとってもインパクトの大きい価値ある1勝になったと思います。

 東京では土日ともにクリストフ(・ルメール騎手)が重賞制覇しました。サウジアラビアRCでは、1番人気コマンドラインに騎乗して、途中で押し上げていく競馬が上手くハマりましたね。毎日王冠では3歳馬シュネルマイスターに騎乗し、豪脚を信じた騎乗できっちり差し切り勝ち。クリストフも秋の大一番に向けてエンジンがかかってきたなという競馬を見せてくれましたから、今後のGI戦線が楽しみです。

哲三の眼

サウジアラビアRCでのコマンドラインとルメール騎手 (撮影:小金井邦祥)

(文中敬称略)

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佐藤哲三

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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