2022年アメリカ供用種牡馬の春の種付け料

2021年11月24日(水) 12:00

トップは25万ドルでイントゥミスチフ

 先週お届けした欧州編に続いて今週は、2022年春の種付け料のアメリカ供用種牡馬編をお届けしたい。

 種付け料が公示されている馬の中で、最も種付け料が高額なアメリカ繋養種牡馬は、25万ドル、およそ2878万円で供用されるイントゥミスチフ(父ハーランズホリデー)となった。イントゥミスチフの種付け料は21年も、アメリカ供用種牡馬では最も高額な22万5千ドルだったが、そこからさらに2万5千ドルが上乗せされたことになる。

 ケンタッキーのスペンドスリフトファームで供用されて、来年で14シーズン目を迎える同馬。現役時代は、G1キャッシュコールフューチュリティ(AW8.5F)を制した他、G1マリブS(AW7F)2着などの成績を残し、09年に種牡馬入りした際の種付け料は1万2500ドルだった。

 これが3年目、4年目には7500ドルまで下落した後、初年度産駒からG1サンタアニタダービー(d9F)やG1BCダートマイル(d8F)を制したゴールデンセンツや、G2ジェロームS(d8F70y)など2重賞を制した他、G1ウッドメモリアルS(d9F)で3着となったヴァイジャックらが登場したことを受け、14年には種付け料が2万ドルに上昇。

 G1アレンジャーキンスS(d7F)など3つのG1を制したプラクティカルジョークらの活躍で、17年に産駒の年間獲得賞金が1000万ドルを突破したことを受け、18年には種付け料が10万ドルの大台へ。その18年には、全米リーディング初のトップ5入りを果たす第4位にランクインし、19年の種付け料は15万ドルへ。その19年にはついに、自身初の全米リーディングの座につき、20年の種付け料は17万5千ドルへ。

 産駒のオーセンティックがG1ケンタッキーダービー(d10F)やG1BCクラシック(d10F)を制し、全米年度代表馬となった20年、イントゥミスチフ自身も、北米供用種牡馬として史上初めて、産駒の年間収得賞金額が2000万ドルの大台を突破する2218万ドルに到達。2年連続で全米リーディングの座に輝くと、21年の種付け料は22万5千ドルにまで上昇していた。

 今シーズンも、イントゥミスチフ産駒は絶好調。G1BCダートマイル(d8F)を制したライフイズグッド、G1ダービーシティディスタフ(d7F)など2つのG1を制したガミーン、G1ハスケルS(d9F)勝ち馬マンダルーン、G1カーターH(d7F)勝ち馬ミスチーヴィアスアレックスらの活躍で、産駒の収得賞金総額は既に、自身が前年に作った記録を突破。

 3年連続リーディングの座を確実にしている。これだけ走れば、マーケットにおける産駒の評価もうなぎ登りで、21年に北米で開催された1歳市場において、イントゥミスチフの産駒は93頭が購買され、平均価格は実に40万0108ドル(約4605万円)に到達している。

 イントゥミスチフに次ぐ種付け料第2位は、ゲインズウェイファームで供用されているタピット(父プルピット)で、22年も21年と同額の18万5千ドル(約2129万円)での供用となる。14年から16年にかけて、3年連続で全米リーディングの座にあった同馬。今年も、G1ベルモントS(d12F)やG1トラヴァーズS(d10F)などを制したエッセンシャルクオリティという大物が出現。健在ぶりを示している。

 種付け料第3位は、ヒルンデイルファームスで繋養されているカーリン(父スマートストライク)で、こちらも21年と同額の17万5千ドル(約2014万円)で供用されることが発表されている。同馬も、G1ケンタッキーオークス(d9F)やG1アラバマS(d10F)を制したマラサート、G1サンタアニタH(d10F)を制したアイドル、G1デルマーデビュータントS(d7F)を制したグレイスアドラーら、21年も様々な路線におけるトップホースを送り出している。

 種付け料高額馬トップ3のイントゥミスチフ、タピット、カーリンは、来年になるとそれぞれ17歳、21歳、18歳になり、種牡馬としてはそろそろ老境の域を迎える。北米における今年のリーディングサイヤーランキングの上位を見ると、前述しように首位がイントゥミスチフで、2位が来春には22歳となるゴーストザッパー、3位がカーリンで、4位が来春には24歳となるスパイツタウン、そして5位がタピットと、高齢化が顕著である。

 北米の馬産界にとっては、新たな勢力の台頭による種牡馬の世代交代が、急務となっている。22年が初供用となる新種牡馬では、タピットの項目で御紹介したエッセンシャルクオリティ(父タピット)の種付け料が、7万5千ドル(約863万円)になることが、繋養先のダーレーから発表されている。

 11月6日にデルマーで行われたG1BCクラシック(d10F)を快勝し、今季の全米年度代表馬の座を確実にしているニックスゴー(父ペインター)も、来年春からテイラーメイドで種牡馬入りすることが決まっているが、こちらは初年度の種付け料が3万ドル(約345万円)と、かなり控えめな額が提示されている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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