北米3歳3冠の最終戦、ベルモントSが今週開催される

2022年06月08日(水) 12:00

注目はトッド・プレッチャー厩舎から出走予定の2頭か

 今週土曜日(11日)、米国ニューヨーク州のベルモントパーク競馬場で、北米3歳3冠最終戦のG1ベルモントS(d12F)が行われる。

 3冠初戦のG1ケンタッキーダービー(d10F)を、現地オッズ81.8倍で制したリッチストライク(牡3、父キーンアイス)が、2冠目のG1プリークネスS(d9.5F)をスキップし、ここに照準を合わせてきた。

 リッチストライクはケンタッキーダービーの翌日に、管理するエリック・リード調教師がレキシントン近郊に持つマーキュリー・エクワイン・センターに移動。その後、再びチャーチルダウンズに戻って調整を積まれた後、6月1日(水曜日)に決戦の地ベルモントパークに到着した。

 新しい環境にもすぐに順応し、順調に調整が積まれている。同馬の父キーンアイスは、15年のG1ベルモントS3着馬で、その父カーリンは07年のG1ベルモントS2着馬。カーリンの産駒に13年のG1ベルモントS勝ち馬パレスマリスがいる。

 同馬が3×2で保持するスマートストライクの産駒には、G1BCターフ(芝12F)勝ち馬イングリッシュチャネルや、Jpn2名古屋グランプリ(d2500m)連覇のアムールブリエらがおり、北米血脈の中では距離への融通性のある背景を持っている。

 だがそのリッチストライクは、どうやら3番人気あたりに落ち着きそうだ。

 当日1番人気が予想されるのが、トッド・プレッチャー厩舎のモードニゴール(牡3、父アンクルモー)である。

 2歳時は3戦し、G2レムゼンS(d9F)を含む2勝をあげた同馬。3歳2戦目となったG2ウッドメモリアルS(d9F)を制し2度目の重賞制覇後、1番という難しい枠を引いた前走G1ケンタッキーダービーでは、道中後方から2頭目を追走した後、よく追い込むも5着に終っていた。

 同馬の母方には、エーピーインディ、タバスコキャットといったG1ベルモントSの勝ち馬が名を連ねており、これらがスタミナの供給源となることが期待されている。

 一方、新興勢力として注目を集めているのが、ロドルフ・ブリセット厩舎のウィーザピープル(牡3、父コンスティテューション)である。デビューしたのは今年の2月で、いきなり2連勝を飾った後、G1ケンタッキーダービー参戦を目指して出走したG1アーカンソーダービー(d9F)は7着に大敗。

 だが、5月14日にベルモントパーク競馬場で行なわれた、ベルモントSへ向けた地元の前哨戦G3ピーターパンS(d9F)では、一変した競馬で2着以下に10.1/4馬身差をつける圧勝。一躍、ベルモントS戦線の最前線に躍り出ることになった。前走同様、ここも同馬が単騎で逃げることになりそうで、自分の形に持ち込むことが出来そうである。

 異色のチャレンジャーが、モードニゴールと同じトッド・プレッチャー厩舎のネスト(牝3、父カーリン)だ。

 2歳時は3戦し、G2デモワゼルS(d9F)を含む2勝をあげた同馬。3歳初戦のLRサンコーストS(d8F40y)、続くG1アッシュランドS(d8.5F)を連勝後、前走G1ケンタッキーオークス(d9F)はシークレットオースの2着に惜敗した。

 トッド・プレッチャー師は同馬が2歳の頃から、「非常にスタミナに長けた馬」との印象をもっていたとしており、前走後の状態も良いことから、ベルモントS参戦を決めたものだ。

 ケンタッキーダービーよりも長い、150年以上の歴史を誇るベルモントS史上、牝馬の優勝は3回記録されている。このうち最新の勝ち馬、07年のラグズトゥリッチズを管理していたのは、トッド・プレッチャー師だった。

 バラエティーに富んだ顔触れで争われるベルモントSに、日本の競馬ファンの皆様もぜひご注目いただきたい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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