「人気し過ぎです」「完全に僕のミスです」──6月の川田語録の真相に迫る! (前編)【月刊 川田将雅】

2022年06月16日(木) 18:02

“VOICE”

▲川田騎手のコメントに隠されたメッセージを探る(撮影:桂伸也)

人気の馬で負けた際、非難される対象のほとんどは乗っていた騎手。だからこそ多くのファンがその騎手のコメントに注目しています。そんなレース後のコメントで今月、川田騎手は同じ1番人気で負けた2つのレースについて全く違った言葉を発しました。

 前編ではその2つのコメントに焦点を当てます。人気を背負って負けると非難されるのは自分であると自覚しつつも、人気を作る側の競馬記者らにも「もう少し責任感を持ってほしい」と話した川田騎手。この言葉の真意には、そのレースを取り巻く様々な事柄への想いが込められていました。

そして次回の後編では、川田騎手が多用する「精一杯の走りをしてくれています」「無事に終わって何よりです」の本当の意味に迫ります!

(取材・構成=不破由妃子)

共同会見は本当のことを伝える場、嘘を言っていいならやる必要はない

──今月の『月刊 川田将雅』で注目するのは、川田さんのレース後のコメントです。というのも、6月は思わず二度見してしまうような興味深いコメントが多くて…。その真意を探りつつ、改めて川田さんのスタンスに迫っていければと思っております。まずはですね、6月11日、中京3Rのソリダリティ(3歳未勝利・1番人気2着)。「近走の内容を考えれば、人気し過ぎです。精一杯の走りをして、踏ん張り切っての結果です」。「人気し過ぎ」なんていうフレーズは、なかなかお目に掛かれないなと。

川田 人気はファンのみなさんが決めるものですが、そのファンのみなさんが参考にするのは予想紙の記者たちの印ですよね。だから、一体誰が本命をつけたんだろうと思いまして。だって、前走2着馬が3頭もいるなかで、この馬の近走は9着、7着。結果的に、馬が精一杯頑張って2着にきてくれたからいいものの、あまりにも不誠実だなという思いがありました。

──まぁ「中内田厩舎&川田将雅」は、もはやパワーワードですからね。

川田 そういうことなんでしょうけど、調教も内容的には動いていませんでしたし。このレースに限らず、最近は不誠実な印が目に余るなと。人気で負けて批判の対象にされるのは、ほぼほぼ僕たちジョッキーですよね。1番人気に乗って負ければ「飛ばした」と言われ、非難される。たとえば、厩舎の仕上げに狂いが生じたケースであっても、指摘されることはほとんどないですから。

──それも宿命だと心得ているからこそのジレンマですね。ソリダリティのコメントには、そのあたりの怒気も含まれていた?

川田 記者の方たちへのちょっとした抗議です。あれがね、薄い印しかついていないにもかかわらず、ファンの方たちの支持によって1番人気になったのであれば、それはもう仕方がない。でも、ほとんどのファンは、予想紙の印を参考にして馬券を買うわけです。だからこそ、そこに対する責任感というのを、もう少し持ってほしいなと思ってしまうんです・・・

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川田将雅

1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。

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