2024年02月29日(木) 18:01
▲藤岡佑介騎手×川田将雅騎手の特別対談、今回が最終回!(撮影:稲葉訓也)
これまで4週にわたってお届けしてきた、同期であり親友の藤岡佑介騎手との特別対談。最終回となる今回のテーマは、おふたりの今後、そして競馬界のこれからについてです。競馬界の明るい未来には欠かせない後進の育成。後輩ジョッキーへ自分が培ってきた技術を伝えるのは、トップに立つ川田騎手の大事な役割だと考える佑介騎手。だからこそ、川田騎手の後輩へのご指導法にはご要望があるようで…!?
そして話題は川田騎手の海外での活躍へ…。世界のビッグレースで日本馬がタイトルを獲得するいま、“ジョッキー日本代表”として世界で戦う川田騎手が思い描く、日本人ジョッキーのあるべき姿とは。
前回はこちら▼
(取材・構成=不破由妃子)
──ここまで濃いお話をたっぷりと伺ってきましたが、最後は今後について。お互いがお互いにどういう存在でいてほしいですか?
川田 そりゃあもう、早く調教師になって、早くトップステーブルの仲間入りをしてもらって…。佑介には、晩年の僕を支えてもらわないと(笑)。
佑介 もし俺が調教師になれたとして、たとえば10年後、将雅に騎乗依頼をするときに、勝つための選択肢でいてくれないと困るよ。
川田 「しょうがないから乗せたるわ」じゃなくてね。
佑介 そうそう。
川田 10年は長いなぁ。
──川田さんは、ご自身のピークをどのあたりに置いてます?
川田 今までの自分と比べれば、総合的にもちろん今が一番上手いですよ。もう40代目前なわけで、アスリートとしての身体的な能力でいえば、確実に落ちているはずです。ただ、若さで乗り切ってきた20代の頃と違って、今は自分の身体の動かし方も、メンテナンスの仕方も十分わかっている。自分の身体能力を使うという意味では、今が一番ちゃんと使えているという自負はあります。
プラス、技術も今が一番ある。ここからは、さらにどこまで技術を伸ばすことができて、身体が衰えていくスピードをどれだけ緩やかにできるか。そうしているうちに、身体の衰えを技術で補えなくなるタイミングが必ずきますからね。それがいつくるのかはわからないけれど、できるだけそれがくるタイミングを先に延ばせるように。技術と経験がとても大切な仕事なので、20年以上乗ってきて、今が一番上手いのは当たり前。そのピークを更新し続けられるようにしなければと思ってます。
佑介 ピークだからこそ、将雅に望むことがある。後輩の話を聞くとき、もうちょっと相手のレベルに合わせて話をしてあげてほしいなって。すごく難しいことなのはわかっているし、後輩たちにとって「緊張感を持って話し掛けるべき存在」は必要なんだけど、将雅は自分が喋りたいことを理路整然とバーッと喋る感じだから。どうせ教えてあげるなら、相手の段階に合わせることも必要かなって。
川田 なるほどね。聞かれたことに対して、何も隠さずに100%答えているんだけど、結果的にすごく難しいことを言っているかもしれない。今、佑介に言われてそう思った。
佑介 たとえば、聞かれたことに対してひとつヒントを与えて、そのヒントを得た相手がどう変化していくかとか、次はどういうことを聞いてくるかとか、そういう「待ち」みたいなことはできないのかなって。聞かれたことにはちゃんと答えるし、すべて教えるけど、そのあとは「ご自分でどうぞ」っていう感じに見える。
──そのあたり、佑介さんはどうしていますか?
佑介 かみ砕いて要点だけを伝えるとか、「俺はこう思うけど、どう思う?」というやり取りをしたりとか。で、しばらくして「この間の件、どうなった?」って声を掛けたりします。やり方は人それぞれだとは思うんですけど、もうちょっと相手の段階に合わせたり、「待ち」の時間を作ったりすれば、将雅の言っていることがもっと伝わりやすくなるんじゃないかと思うんですよね。
川田 確かになぁ。聞かれたことに対してバーッと答えて、「これが俺の考えだ」で終わっているような気がする。指導力不足ですみません…。善処いたします(笑)。
──川田さんが怒られてる…(苦笑)。
佑介 アハハハ!・・・
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川田将雅
1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。
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