まずは気候。日中こそ、半袖でも大丈夫なくらい暖かい日が続いているものの、調教開始時刻の6時前後はかなり冷え切った状態。これに雨でも降れば、かなり寒くなるだろうなという感じ。ちなみに雨はここ1週間でほとんど降っていない。

　あとは馬場状態。これは各コースにも記しているが、ウッドチップはとにかく時計を要する状態となっている。適度に雨が降って、水分で締まるような状況になった方が時計が出やすいのかも知れない。乗り手からは「悪い」という表現が出るが、ウッドチップの状態という意味ではなく「走りにくい」という意味での馬場の悪さだと判断していただければよいだろう。

【坂路/4F51.9秒】
　21日。一番時計は4F50.2秒のデイドリーム(栗東・高橋義忠厩舎)。本馬はちょうど昨年の今頃、4F50.6秒という時計をマークしていて、ラップの踏み方が当時に非常によく似ている。よって、極端に走りにくい馬場というわけではないのだろうが、4F52秒以下が20頭にも満たない状況を考えれば、やはり時計を要していることは間違いない。

　ラスト1Fで11秒台をマークした馬がいないのも、時計を要していることを裏付ける。そんな中でも、抜群のラップバランスで4F51.3秒をマークしたのがオメガヴェンデッタ(栗東・安田隆行厩舎)。前半を13秒台で飛ばし、後半2Fは12.2秒、12.1秒でフィニッシュ。文句のつけようがない動き。次週のスワンS(京都芝1400m)を予定しているが、楽勝しても不思議ないくらいの状態にある。

　先週の馬場差が「+0.9秒」。全体的な時計な出方を見ると、そこまで時計を要しているわけではないが、明らかに基準時計よりは時計を要している。よって21日、22日とも『+0.3秒』の馬場差で記録している。

【CW/5F66.5秒】
　先週の時点では、徐々に時計の出る状態に戻ってきたとお伝えしていたが、今週は再び時計を要する状態。だからといって、基準時計より遅いわけではなく、ほぼ基準通りといった感じ。ただ、2歳新馬にとって、今のウッドチップは相当走りにくいようで、水準レベルの馬だと、軒並み時計を要して、最後は止まってしまうような動き。

　21日。朝一番とはいえ、菊花賞の出走を予定しているタンタアレグリア(美浦・国枝栄厩舎)とマッサビエル(美浦・小笠倫弘厩舎)の併せ馬は抜群に速い時計。栗東に滞在しているからこそ、ここまで攻めることができるのかなという印象を受けた。

　22日。追い切り頭数は少なかったが、時計の出方は前日と変わらず。1回目のハローが終了した時間帯に追い切られたのが、アルゼンチン共和国杯(11月8日・東京芝2500m)の出走を予定しているサトノノブレスと萩S(10月31日・京都芝1800m)の出走を予定しているプロフェットの池江泰寿厩舎の2頭併せ。

　サトノノブレスが先行して、福永祐一騎手騎乗のプロフェットが追いかける流れ。6F標識から時計をとっていたが、正味は4Fの追い切り。最後の直線でプロフェットが並びかけようとするところを、サトノノブレスが反応してひと伸びしたところがゴール。勢いはサトノノブレスが少し先着したように見えたが、ほぼ同入といってよいだろう。時計はプロフェットが5F69.9秒、1F12.1秒。ラストの伸びは時計優秀だった。

　先週の馬場差が「-0.8秒」。今週の状態に関しては冒頭の通り。よって今週は21日、22日とも『±0.0秒』で馬場差を記録している。

【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
　今週の芝馬場は21日、22日を合わせても5頭に満たない追い切り頭数。天候の影響もなく、馬場に変わった点はないので、馬場差は21日、22日とも『±0.0秒』で記録している。

　ポリトラック馬場で驚きの動きはエインセル(栗東・牧田和弥厩舎)。6F78.8秒は決して目立つ数字ではないが、スピードに乗ってからの、3F35.0秒は素晴らしい。しかも最後まで余力十分。素軽い芝のレースなら、スピードで圧倒することができそう。馬場差は21日、22日とも『-1.0秒』で記録している。

※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・写真：井内利彰)