長期休養中の岩永騎手がサプライズ登場「ここまで回復できました」

2017年01月09日(月) 19:20

LVR第3戦、左から下村瑠衣騎手、別府真衣騎手、岩永千明騎手、木之前葵騎手、宮下瞳騎手、鈴木麻優騎手(撮影:大恵陽子)

 9日、佐賀競馬場で行われた地方競馬の女性騎手レース「レディスヴィクトリーラウンド」第3ラウンドで、嬉しいサプライズがあった。

 昨年3月のレース中に落馬、長期休養中の岩永千明騎手が出場騎手紹介式に登場。落馬後、初めて公の場に姿を現した。

 5名の出場女性騎手を紹介した後、司会の赤見千尋さんが「もう1名、紹介したい人がいます」と言うと、場内はざわついた。勝負服姿の岩永騎手がゆっくりとした足どりで、はにかみながらウィナーズサークルに立つと、温かい拍手で包まれた。

 岩永騎手は2004年、荒尾競馬(廃止)でデビュー。荒尾競馬廃止後は佐賀競馬に移籍し、2014年には女性騎手トップとなる53勝を挙げ、NARグランプリ優秀女性騎手賞を受賞した。当時、最年長として女性騎手界を牽引していた2016年3月6日に落馬し、リハビリ生活を送っていた。

 岩永騎手は集まったファンに向けて「昨年の落馬事故では心配していただき、ありがとうございます。みなさんに会いたくて、リハビリを頑張ってここまで回復することができました。今日は参加できませんが、女性騎手のがんばりを見たいです。(地方競馬では)九州に1つだけになった佐賀競馬場。九州産の馬や佐賀で頑張っている騎手の応援もよろしくお願いします」と挨拶した。

 女性騎手には華やかな印象が先行しがちだが、命の危険も伴う。大きな落馬事故からリハビリ中の先輩騎手の姿を見て、別府真衣騎手(高知)は涙をこらえきれなかった。本来ならライバルになるはずだった女性騎手たちの目が次々に潤んだ。

 レースでは2戦ともで2着だった下村瑠衣騎手(高知)が第3ラウンドを優勝。2月22日、高知競馬場で第4ラウンド(最終)を行い、総合優勝が決定する。

(取材・文・写真:大恵陽子)

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