キタサンブラック総括「ハッピーエンドで終われて良かったです」/ねぇさんのトレセン密着

2018年01月18日(木) 11:50

昨年の天皇賞秋の翌朝、清水師から好物のニンジンを貰っていたキタサンブラック(撮影:花岡貴子)

 早いもので、キタサンブラックが栗東トレセンから旅立って1週間が過ぎました。

 引退レースのあと、引退式をしたらそのまま第二の馬生のために北海道へ向かうケースも多いですが、キタサンブラック有馬記念のあとに栗東に戻って年越しをして、さらに引退式をした後も栗東に戻り、さらに翌日まで居てくれました。だから、余韻たっぷり、のはずが…。やはり、栗東からいなくなって、もう帰ってこないと思うと寂しいものですね。

 改めてキタサンブラックについて振り返ると、与えられたローテーションを高いレベルを保った状態で全てこなしたことがやはり凄かったように思います。予定していたレースのすべてをこなすだけでも難しいのに、あれだけ大型馬にもかかわらず怪我なく結果を出し続けたタフさは特筆ものでした。

 馬の資質もさることながら、そのように管理した清水師の手腕も素晴らしかった。清水師はキタサンブラックには「優先的に」ニンジンをあげたりして可愛がる反面、時には厳しい調教を課していましたが、そのように負荷をかけ続けるタイミングも、手控えるタイミングも実に絶妙でした。人間の都合ではなく馬の様子にしっかり合わせて負荷を調整するというのはなかなか出来そうで出来ないこと。それをあれだけの大注目の中、やり切った清水師は凄い調教師だな、としみじみ思う次第です。

 実はキタサンブラックが引退する直前に、一時期、最近には珍しい坂路3本の調教をこなした件について、改めて清水師に聞いてみたんです。

「十分に実績あるキタサンブラックの調教を、あれだけの注目の中で更に強めるのは怖くなかったですか?」と。

 すると、清水師はいつもの笑顔で即答しました。

キタサンブラックを信じていましたから。大丈夫だと思っていました」

 その“信じる”という言葉の中には、単に感情だけでなくフィジカル面の“計算”も含まれています。それはなかなか出来そうで出来ないことではないでしょうか。

 キタサンブラックを北海道安平町の社台スタリオンまで送り届けた辻田厩務員、すぐに栗東に戻って翌日には別の馬で競馬に向かっていたそうです。こちらもタフですね! そして、今週はすでに別の担当馬でいつもどおり仕事をされています。

「予定より2日遅れましたけど、大事をとって無事到着しました。競走馬としてハッピーエンドで終われて良かったです」

 トレセンには“馬は担当者の鏡”という言い伝えがあります。常に一緒にいるのは厩務員さん、助手さんの日ごろの様子や態度は担当馬に表れる、というものです。辻田さんはいつもおっとりしていらして、それがキタサンブラックにも伝わってほっこりした雰囲気を醸し出していたように察します。

 この陣営なら、第二、第三のキタサンブラックのような“怪物”を育て上げられる。そう思えて仕方ないのです。

(取材・文:花岡貴子)

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