メンバー唯一の札幌新馬勝ち馬 クラージュゲリエ重賞級の器/トレセン発秘話

東京スポーツ

2018年08月30日(木) 18:00

相手関係からも重賞級の器なクラージュゲリエに注目(c)netkeiba.com、撮影:武田明彦

 関係者がザワつく出来事が先週の札幌で起こった。想定段階で新馬戦が4頭、2歳未勝利はわずか3頭。揃ってレース不成立(5頭未満)の可能性を帯びていたのだ。

「2歳戦を充実させたいという施行側の意図はわかるが、後がない3歳未勝利の出走がこの時期の大半のキュウ舎の優先事項。数が限られた馬房を2歳馬に割くには計6週というスパンも短い気がする」とは某関係者。

 直前で出走馬が現れて幸い両レースとも施行に至ったが、新馬戦(芝6ハロン)のV時計1分14秒8(稍重)はJRAのもくろみと真逆の現実を照らすものである。札幌最終週は土日で7鞍の2歳戦が組まれるが、果たしてその充実度はいかほどか。

 さて、そのメインは土曜のGIII札幌2歳S。昨年は札幌で新馬勝ちした馬の参戦がゼロ、今年もわずか1頭という皮肉な現象は続くが、そのステップが多岐にわたる分だけ興味深い一戦と捉えることもできよう。それでも主役を譲れないのはメンバー唯一、札幌デビューを白星で飾ったクラージュゲリエではないか。

「勝ち負けのパフォーマンスは出せると思っていたけど、実際の走りは予想以上でしたね」と川合達彦助手が振り返る初陣は、5ハロン通過67秒1のスローペースを後方から追走。3角では9番手まで下がったが、圧巻はギアチェンジした勝負どころ。ラスト2ハロン11秒3→11秒3の決め手比べを制し、2着に2馬身差をつけた切れ味は強烈だった。

「1週前追い切りは藤岡佑介騎手に乗ってもらいましたが、“素軽さがありスピードがすごい”と絶賛してましたね。短期放牧を挟みましたが、走りはさらに磨きがかかった感じ」と川合助手。上積み十分のデキとあればあとは相手関係だが、同馬の力量を知らしめる出来事がデビュー後にあった。

クラージュゲリエと併せ馬をしていたせいで、同じく札幌の新馬戦(芝7.5ハロン)を5馬身差で完勝したトスアップジャッジを完全に間違えましたね。2頭の脚色が全然違うので、トスアップが初戦から勝てるとはまったく思わなかったんです」(同助手)。

 クラージュゲリエが初陣で0秒5差をつけた3着ハギノアップロードは、格上挑戦した次走のコスモス賞(オープン)で0秒4差の3着。その尺度からも重賞級の器であるのは確かだろう。

 近年は名ばかりとなる「北の2歳王者決定戦」だが、12年コディーノ以来、6年ぶりの札幌新馬勝ち馬の優勝を今年は期待できそうである。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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