ダービー見据え強敵にあえてぶつけるモンテアーサー/POGマル秘週報

東京スポーツ

2018年09月12日(水) 18:00

強敵にひるまず、鞍上も味方につけたモンテアーサーに期待(c)netkeiba.com

 前年の朝日杯FSを勝ったリオンディーズ、同2着のエアスピネルが早々と出走を表明し、皐月賞の優先出走権だけでなく、それ以降のための賞金加算も簡単な状況でなくなってしまった一昨年の弥生賞。だが、マカヒキは強敵にぶつけることをあえて選択し、これを撃破することでダービー制覇への道筋をつけた。

弥生賞の勝利で自信を持てたことが大きかった」と友道調教師が語った一戦は、オーナーサイドの強い要望があっての出走であったことも後に明かしている。

「すでに2勝はしていたけど、ダービーまでの賞金を考えたらもっと弱い相手と走ったほうがいいと思っていたんだ。でも、オーナーの金子さんは弱い相手に連勝を続けるよりも、強い相手にぶつけて現在の力を見たほうがいいと。成功する人は常人と考え方が違うなと思ったよ」

 ちなみに皐月賞での乗り替わりが既定路線(ルメールはサトノダイヤモンド騎乗で内定していた)だったこともあり、キュウ舎サイドはトライアルからの鞍上交代も考えていたのだが、弥生賞のルメール騎乗にこだわったのも金子オーナー。

 彼が騎乗することでしか得られない何かをオーナーは察知していた? 今週の野路菊S(15日=阪神芝外1800メートル)に出走するモンテアーサー(牡=父シンボリクリスエス母ラストワルツ)の話を聞いていて、そんな当時のエピソードを思い出してしまった。

 野路菊Sは少頭数でも非常にハイレベルな一戦。人気を集めるヴェロックスカテドラルはすでにクラシック候補と評判になっている馬たちだ。

 もちろん、モンテアーサーを管理する松田調教師もそれは理解していて「私たちの最大の仕事はダービーに出走できる18頭の枠に管理馬を導けるかどうか。ゆえに相手関係を考慮しながら、場合によっては“抜け道”のような日程も考えて賞金加算を目指します」と前置きはしている。

 しかし、それを認識しながらも「一年に何頭かは“王道”を進ませたいと思わせる馬がいる」。どうやらモンテアーサーはその中の一頭らしいのだ。

 デビュー戦の選択も“王道”を求めたもので、「開幕直後の札幌は自信のある2歳馬を各陣営が出走させてくる。そのようなハイレベルのレースにトップ騎手のモレイラに乗ってもらって、道中の折り合い、加速の仕方などを学ばせる。

 最近は数を使わずにクラシックへと向かうことが大事とされているでしょう? 実戦で教えられる機会は少なくなっているのだから、その一回を無駄にはできないんですよ」

 モレイラからバトンタッチする今回の鞍上はルメール。見た目には名手から名手への単純なリレーだが、これにも意図するものがあるという。

「札幌で勝たせる競馬をさせたら、3コーナーから勢いをつけて上がっていくモレイラが一番でしょう。しかし、現在のダービーは最初からいい位置に付け、そこで我慢をさせながら、最後に切れる脚を使うことが求められています。それを完璧にこなしてくれる騎手がルメール。直線の長い阪神の外回りで彼に乗ってもらうということは、ダービーでの走り方を教えてもらうことでもあるんですよ」

 本番直前と2歳の9月。時期こそ違うが、強敵に臆することのないレース選択、実戦経験の少ない若駒だからこそ、騎乗者の質を重要視する姿勢は、あの時のマカヒキに通じるものがある。

「もうひとつ。ルメールがダービーで騎乗する馬の候補に入れておいてほしいという気持ちもあるんです。これからも多くの素質馬を頼まれ、そのたびに彼は選別していくのでしょうが、騎乗経験がないとその枠にも加われませんから」と笑う松田調教師。ダービー2勝トレーナーの采配は成功するのか? その結果に注目したい。

(松浪大樹)

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