“直行”で結果を出すドバイ遠征 なぜ仏遠征で適用しない?/トレセン発秘話

東京スポーツ

2018年10月05日(金) 18:00

凱旋門賞に出走予定のクリンチャー(c)netkeiba.com

 なんだかんだで海外の馬券は凱旋門賞が最も売れる。日曜夜という時間帯がいいのか、単純にレースの格の問題か、もしくはその両方なのか。いずれにしろ、当たり前のように40億円もの売り上げを記録してしまうのだから、JRAはもちろんのこと、手数料が入るフランスギャロの「日本馬ウエルカム」の豹変ぶりも仕方ないところか(以前は厳しい取材規制をしていたのに、一昨年は芝のど真ん中で追い切り動画まで撮影できた)。

 世界はひとつ、人類はみな兄弟であってほしいと心の底から願っているが、残念なことに“金”がすべての世の中。それが国内馬券発売を開始した記念すべき1回目の凱旋門賞を取材して得た一番の教訓なのだから、記者の心も相当にすさんでいるのかもしれない。

 日本馬の凱旋門賞挑戦といえば、「現地で前哨戦をひと叩き→本番」というローテーションをほとんどの陣営が選択する。一方でそれがスタンダードなのを認識したうえで、違う選択をする馬がいてもいいと思っている。この手の主張をすると必ず出てくるのは、半年にもわたる長期遠征で結果を出した1999年エルコンドルパサーの例だが、記者が言う選択はまるで正反対。凱旋門賞への直行である。

「そもそも日本のGI馬は中2週で走る習慣がないからね。慣れないことをするくらいなら、こっちできっちりとつくって、向こうで環境の変化に変に順応する前に競馬を使っちゃう。そのほうがいいかもしれないと考えることもあった」とはマカヒキを遠征させた友道調教師の弁だ。

 レースへ向かう日程がニエル賞1着→凱旋門賞14着とマカヒキを暗転させた理由のすべてではないだろう。だが、日本馬が何度も挑戦しているドバイ遠征を考えてほしい。以前は前哨戦を使って本番に臨む馬も少なくなかったはずだが、現在ではほとんどの馬が2週間前に輸送。それでも普通に結果を出している。なぜ、その考えを仏遠征で適用しないのか? 当たり前のように浮かぶ疑問である。

 もちろん、馬によっての差異はあるだろう。クリンチャーのような叩き良化型は現地でひと叩きしたほうがいいのかもしれない。ただ太めに見えたフォワ賞から馬体は絞れてくるのだろうか? クリンチャーの果敢な挑戦を熱烈に応援する一方で、あの素晴らしい環境のシャンティイで馬が闘志を燃やすことができるのか? 変に順応していないか? その疑念が消えないのも正直なところだ。

 (栗東の本紙野郎・松浪大樹)

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