思い切った逃げが見事はまったウインムート/さきたま杯回顧(斎藤修)

2019年05月30日(木) 18:00

前走とは一変の万全の仕上げだったウインムートが会心の逃げ切り勝ち(撮影:高橋正和)

 浦和1400mは4コーナー付近からのスタートだが、1コーナーまでの距離がそれほど長いわけではなく、逃げたい馬が複数いれば互いに譲らずのハナ争いでオーバーペースになることもめずらしくない。

 今回も5、6頭ほどが行く気を見せた。しかしウインムートがゴール板あたりで先頭に立つと、そこから無理に競りかけて行く馬もおらず、見た目の印象ほどは速いペースにならなかった。

 その要因として、3番枠に入ったサクセスエナジーが先行争いに加われずということがあった。スタート後のダッシュがつかず、両脇から挟まれる格好になって位置取りを下げざるを得なかった。それにしてもウインムートは9番枠で、しかもスタート直後にバランスを崩しかけているにもかかわらず、よくハナをとりきったものと思う。

 結果的にそのウインムートが逃げ切ったのだが、最初の600m=36秒4というのは、この舞台のダートグレードではやや遅い部類。レース後半も手応え十分なまま、後続が来るのを待って追い出し、上り600mで36秒6という脚を残していて押し切った。勝ちタイムは1分25秒3。

 過去10年で1分25秒台前半というタイムは一度もなく、23回のさきたま杯の歴史でも3番めに速いもの。朝まで雨が降っていて第3レースまでは稍重で行われており、第4レース以降、良馬場にはなったものの時計の出る馬場ではあった。

 ウインムートは地方初参戦となった2017年8月のサマーチャンピオンで1番人気に支持されながら3着、さらに昨年のテレ玉杯オーバルスプリントでも1番人気で8着に惨敗しており、小回りコースは不向きと思われていた。しかし昨年末の兵庫ゴールドトロフィーでは3番手追走から差し切り5歳にしての重賞初制覇。

 さらに6歳になってここも会心の逃げ切り。ここ3戦で手綱をとっている和田竜二騎手が、ウインムートの小回りでの素質を開花させたと言ってもよさそうだ。前走かきつばた記念は勝ち馬から2秒7も離される4着惨敗だったが、レース後に熱中症の症状が出ていたとのこと。今回の馬体重はその前走比マイナス12kgの507kgだったが、直前は栗東の坂路で好タイムで追い切られ、前走とは一変の万全の仕上げでもあった。

 一方で2馬身半差をつけられての2着だったが、一番強いレースをしたのが、1番人気に支持されていたサクセスエナジー。スタートで出負けしたにもかかわらず、勝負どころでウインムートにからんでいけたのはこの馬だけ。

 1コーナーを回るところではまだ5番手の内。しかし向正面で外に持ち出すと、3コーナー過ぎで抜群の手応えのまま位置取りを上げ、ウインムートに迫った。半馬身ほどの差で直線を向いたが、ゴール前で振り切られたのは、道中で早めに脚を使ったこともあっただろうし、ウインムートより1kg重い57kgということもあっただろう。あらためて、地方のコーナーを4つ回る1400m戦は得意の舞台というところを見せた。

 地方期待のキタサンミカヅキは、さらに2馬身離れての3着。3番手を追走していたが、勝負どころで1、2着馬に差を広げられてしまった。もともと中団追走から末脚勝負という脚質だったが、最近は先行して結果を残すようにもなっていた。であれば、浦和コースの1番枠に入って下げる手はない。

 スタート直後、森泰斗騎手はあわよくば行ってしまってもという気合に見えた。前半に仕掛けたぶん、勝負どころでの伸びを欠いてしまった。そもそもこの馬には時計が速すぎた。

 サンライズノヴァは相変わらずスタートがよくない。地方の小回りコースでは致命的だ。地方コースは3歳時のジャパンダートダービー(6着・大井)を経験したのみで、小回りコースは今回が初めてだった。モーニンは2番手を追走したものの、3コーナー手前で一杯。本来の調子にはなかったかもしれない。

 今回のさきたま杯は、今年浦和での開催となるJBCスプリントと同じ舞台というで注目されたが、JRA枠は4頭。JBCの要項はまだ発表されていないが、JBCはフルゲート12頭ならJRA枠はおそらく5頭だろうか。

 1400mのJBCスプリントにエントリーしてくるのは必ずしもダート短距離を主戦場としている馬ばかりではなく、1600〜1800mあたりを得意とする馬や、さらにこれまでにもあったことだが芝の短距離路線から挑戦してくる可能性もある。従来のダート短距離路線の馬たちにとってはかなり狭き門となるかもしれない。

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