【勝負の分かれ目 新潟記念】馬場のいいところ伸びた良血ブラヴァスが重賞初勝利

2020年09月06日(日) 18:00

 大方の予想どおり、ウインガナドルが先手を取り、2番手に3馬身ほどの差をつけて単騎逃げの形に持ち込んだ。このまま流れが落ちつくかと思いきや、ミルコ・デムーロジナンボーが内からスルスルと進出し、3コーナー手前で先頭に立った。外のウインガナドルと馬体を離して並走する形になり、3、4コーナーを回っていく。

 1番人気のワーケアは、好位の馬群のなか。

 福永祐一が乗る2番人気のブラヴァスは、その後ろの外目にいる。

「あまりいいスタートではなく、五分のスタートでした。思っていたより先手を主張する馬がいましたね。2、3番手も想定していたのですが、馬の後ろで競馬をしたいと思っていたので、いい形で3コーナーに入ることができました」と福永。

 ジナンボーが先頭のまま直線に入った。ジナンボーは外のウインガナドルを競り落とし、さらに末脚を伸ばす。そこから馬場のいい外に出したかっただろうが、外からサトノダムゼルが並びかけてきて、外に出し切れないままデムーロはジナンボーを追いつづけた。

 一方、ブラヴァスは、前のサトノダムゼルが内のジナンボーに併せに行ったため前方がよりクリアになり、そのまま馬場のいいところでスパートをかけた。福永は言う。

「手応えはよかったんですけど、まだ体が噛み合っていないというか、前と後ろがバラバラな感じで走る馬なので、正直、乗っていてあまり気持ちのいい感じではありませんでした。それでも、しっかり伸びてくれましたね」

 ブラヴァスは、さらに外から来たサンレイポケットの勢いまでも利用するように末脚を伸ばし、離れた内のジナンボーを頭差でかわして優勝。見事、重賞初勝利を挙げた。

「まだ道中も追ってからも噛み合わない走りをしながら重賞を勝つことができました。年齢とともにそのへんは解消されていくでしょうし、まだまだ伸びしろに溢れた馬だと思うので、先々が楽しみです」

 そう福永が話したように、良血が本格的に開花するのはこれからだ。

 良血ぶりでは負けていないジナンボーは、外に出し切れなかったぶん、差されたような印象を受けた。このレースで2年連続2着と涙を呑んだが、力のあるところを見せてくれた。

(文:島田明宏)

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