【ジャパンダートダービー回顧】4連勝で大金星キャッスルトップ/斎藤修

2021年07月15日(木) 18:00

紙一重の差で中央馬を振り切り大金星をあげたキャッスルトップ(写真最奥、撮影:高橋正和)

 南関東勢は羽田盃東京ダービー上位馬が揃って回避し、一方の中央勢はダート重賞の勝ち馬、上位馬が出走してきたものの例年ほどレベルが高いとも思えず。そうであるなら展開さえ向けば東京ダービー最先着のブライトフラッグで間に合ってしまうのではないかと思って本命にしたのだが、まったくの伏兵が逃げ切ってしまうとは驚かされた。

 外枠からでもハナをとったのは、主役となったキャッスルトップ。やや離れた2番手にロードシュトロームで、さらに差のある3番手以下に有力馬が続いた。逃げたキャッスルトップが単勝万馬券で、2番手のロードシュトロームは中央7頭のうち6番目の人気(全体では7番人気)。たしかに有力馬が牽制しあっての人気薄の逃げ切りではあったが、凡戦だったかといえばそうでもない。1000m通過62秒6は格下の逃げ馬が押し切れるようなスローペースではないし、勝ちタイムの2分5秒9(稍重)も、東京ダービーの2分6秒6(良)より速かった。ジャパンダートダービーの過去3年、ルヴァンスレーヴ2分5秒8(良)、クリソベリル2分6秒1(稍重)、ダノンファラオ2分5秒9(重)という錚々たる馬たちの勝ちタイムとも遜色がない。ただ今年は馬場自体が若干速かったことは今後のために頭に入れておく必要はあるかもしれない。

 キャッスルトップで見事だったのはペース配分。楽に逃げられたとはいえ、最初の3F=35秒6は速い。しかしその後に13秒3、13秒7とラップを落として息を入れることができた。後半1000mも63秒3とほとんどペースが落ちることなく、ゴール前で押し寄せた中央のダートグレード実績馬たちを振り切った。

 キャッスルトップは初勝利がデビュー9戦目の今年5月で、そこから3連勝でここに臨んだ。2勝目が中央の3歳未勝利との条件交流で、2着に6馬身差をつける逃げ切り楽勝。そして前走、古馬B3特別もやはり逃げ切って3馬身差。3連勝中とはいえ、重賞初挑戦が中央一線級との対戦となれば、蚊帳の外と思われても仕方ない。距離経験も1600mまでしかなく、父がバンブーエールならなおさらだ。それでもその3連勝で力をつけていたのだろう。でなければみずから刻んだペースで東京ダービーより速いタイムで走り切ることなどできない。

 殊勲の仲野光馬(なかの・かづま)騎手は、デビューが2014年6月、24歳と遅かった。地方競馬教養センターには入所したが、卒業することはできず、厩務員になって一発試験で合格した。今年8年目で、ジャパンダートダービーの前までで通算44勝。船橋所属で、大井競馬場は通算34回の騎乗でわずかに1勝という経験だった。この日の騎乗もジャパンダートダービーだけ。もちろん重賞は初勝利で、それがJpnIの大金星となった。

 アタマ、アタマ、クビ、1/2馬身という紙一重の差で、2〜5着に1〜4番人気馬が入った。

 2着はゴッドセレクション。先行した伏兵2頭から離れた3番手を追走し、道中は有力馬が互いに牽制し合った中で先着したのだから能力は発揮した。断然人気に支持された兵庫チャンピオンシップでは1/2馬身差2着で、今回もアタマ差で勝利を逃した。鞍上の中井裕二騎手もここまで重賞タイトルがなく、この2戦は悔しい経験になったことだろう。

 牝馬のウェルドーンゴッドセレクションの直後を追走し、直線で一旦は完全に並びかけたものの、最後はアタマ差及ばず。ユニコーンSを見事な末脚で差し切ったスマッシャーは、中団から今回もメンバー中最速の上がり3F=37秒1の脚を使ったが、前も止まらなかった。

 レース中盤でペースが落ちたのを感じて一気に動いて行ったのが、リプレーザ幸英明騎手。内から進出したぶんのコーナーワークで、直線を向いたところではゴッドセレクションより前にいたものの、ゴール前で行き脚が鈍ったのは早めに仕掛けたぶんだろう。兵庫チャンピオンシップで1870mをこなしたが、あらためて距離適性も問われるところ。

 2歳ダートチャンピオンにして東京ダービーを逃げ切ったアランバローズが出ていたらどうだっただろう。おそらく中央の有力勢はそれを目標に勝負に出て、まったく違った展開になったと思われる。この世代のダート路線は、地方・中央能力拮抗の混戦といえそうだ。

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