【サマーチャンピオン回顧】得意の地方1400mでラプタスが圧倒/斎藤修

2021年09月02日(木) 18:00

7馬身差をつけて圧勝したラプタス(撮影:稲葉訓也)

 JRA騎手3名の乗り替わりには、何があったのかと驚かされた。騎手のコロナ感染が判明し、先週末に同じ新潟競馬場で騎乗していた騎手は検査の結果が出るまで騎乗できないとのこと。ちょうど1年前、南関東で陽性者が出たときには川崎・船橋の開催がかなり混乱したが、コロナとの付き合いも1年以上経った今では、集団感染でも発生しないかぎり、それほど大事(おおごと)にもならず淡々と処理されるようになった。感染した本人は大変だろうが。

 地方馬は他地区からの参戦がなく、地元馬もこの路線のトップクラスが回避したとあっては、予想通りJRA4頭が上位独占という結果。しかし道中ではちょっとした波乱もあった。

 2番枠のラプタスがすんなりハナに立ち、前走NST賞ではスタートでダッシュがつかず後方からとなっていたイメルも抜群のスタートを見せ、スタートに難があるコパノキッキングも好スタート。サクセスエナジーは1番枠でもさすがにラプタスのハナを叩くわけにいかず、3頭を前に見ての追走。地元馬では唯一、ハッピーハッピーが差なく続いた。

 1コーナー。映像に映っているのがギリギリのところだったので原因などはっきりとはわからないが、サクセスエナジーが大きく外に膨れた。向正面中間あたりでは前3頭が一団で、6-7馬身ほども離れてハッピーハッピー倉富隆一郎騎手が懸命に追うサクセスエナジーはさらにうしろ。59kgを背負ってその位置からではさすがに圏外と思われた。

 3-4コーナーで前がアップになった映像でも3頭だけ。先頭のラプタスが徐々に差を広げて圧勝。さて、2着争いはどちらかと見ていたところ、サクセスエナジーが最内を通ってするすると伸び、イメルをなんとか振り切ったコパノキッキングをクビ差とらえて2着に食い込んだ。

 勝ったラプタスは、これで重賞4勝はすべてコーナー4つの地方の1400m。2着サクセスエナジーもここまで重賞5勝は同じくコーナー4つの地方の1400m。まずはコース適性の差が結果に表れたといっていいだろう。コパノキッキングは、浦和のJBCスプリントでほとんど勝ちに等しい2着があったとはいえ、能力を発揮するのはやはりワンターンの広いコース。イメルは地方初参戦で、コースを1周する競馬自体が初めてだった。

 勝ったラプタスサクセスエナジーの着差は7馬身。サクセスエナジーは、砂をかぶるのを嫌がるとされており、1コーナーで逸走気味に膨れたのは何かそうしたことがあったのかもしれない。外目の枠に入ってすんなり好位を追走できていれば際どいレースになったと思われる。ノドの手術で半年近い休み明け。仕上がりも万全でなかったということでは、差のある4番人気(単勝21.1倍)だったのも仕方ない。

 ただ2カ月ぶりで仕上がり途上と言われた昨年9月の浦和・オーバルスプリントでも58kgを背負って強い勝ち方を見せていたように、久々で調整途上でも走るのがサクセスエナジーなのだろう。

 昨年末の兵庫ゴールドトロフィーでは離れた5番手からやはりラチ沿いを伸び、勝ったかと思えたベストマッチョを差し切っていたが、今回2着ではあったものの、そのときと同じような競馬を見せた。スリリングな競馬をするのもこの馬の特徴だ。佐賀コースでは砂が深い最内を走るのはリスクもあるが、この日はこのレースまでに1番枠の馬が1勝3着2回。コースをよく知る地元騎手ゆえの、思い切った好判断でもあった。

 他の中央3頭と比べて軽ハンデ(55kg)ということで拮抗した上位人気になったイメル(3.6倍、3番人気)だが、コパノキッキングとの追い比べに屈して4着。たしかにこのレースは昨年まで9年連続でダートグレード未勝利馬が勝利というデータもあったが、今年は状況が違っていた。

 この夏の時期、中央馬は層が薄くなるのが常で、昨年までの近5年、このレースに出走した中央馬を見ると、グレード勝ち馬は多くて2頭、グレード勝ち馬が1頭もいない年も2回あった。

 ところが今回、ハンデを背負っていた3頭はいずれも重賞3勝以上。サクセスエナジーは途中までレースに参加できてなかったとはいえ、それだけのメンバーが揃えばレースの質が違う。その馬たちに、重賞未勝利馬イメルが1頭で立ち向かうのはいかにも厳しい。

 デビューしてまだ10カ月という飛田愛斗騎手だが、イメルの現状持てる力は十分に引き出したのではないか。

 今回、重賞実績馬が3頭も揃ったのは、ちょうど2カ月後のJBCの舞台が金沢競馬場で、JBCスプリントは同じコーナー4つの1400mだからということはありそう。3頭はいずれも休み明けで、ここをJBCスプリントへ向けた秋初戦として選択したと思われる。

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