【名古屋グランプリ回顧】長距離で素質開花ヴェルテックス/斎藤修

2021年12月24日(金) 18:00

長距離で素質開花、重賞初制覇を飾ったヴェルテックス(撮影:稲葉訓也)

 中央勢は芝のダンビュライト以外重賞勝ち馬がいないという手薄なメンバーだったが、その中でもまだオープン以上で勝ち星がなかったヴェルテックスが1番人気にこたえて見せた。

 長丁場のレースにはめずらしく中央勢同士の先行争い。ダンビュライトライトウォーリア、さらにケイアイパープルと3頭がスタートしての直線で競り合った。それでも1コーナーを回るところで枠順なりに隊列が決まると向正面でペースが落ちついた。ヴェルテックスがこの3頭の直後につけて4頭がほぼ一団。以降は離れて縦長の展開となった。

 結果的に先行集団4頭からライトウォーリアが脱落しただけで3頭の決着。ケイアイパープルが2周目向正面から仕掛けていったが、これを追いかけたヴェルテックスが長く脚を使い、直線を向いてねじ伏せるように差し切った。

 ヴェルテックスは、これまでも東京2100mの3勝クラス(春光S)を勝ち、オープンのブラジルCでも3着に好走していたように、長丁場のスタミナ勝負で能力の高さを見せてきた。「春光Sを勝ったときから重賞が狙える馬と話していた。距離は延びれば延びるほどいいことはわかっていた」という横山武史騎手は、ダートグレード最長距離の舞台で期待通りの結果に導いたことになる。勝利騎手インタビューでは「有言実行」とも言っていた。

 ヴェルテックスの血統が興味深い。母シーイズトウショウセントウルSなど芝の短距離重賞を5勝。その産駒、つまりヴェルテックスのきょうだいにはヨハネスブルグダイワメジャーなどマイルから短距離系の種牡馬が配合され、芝の短距離を中心に使われている馬がほとんど。ところがジャスタウェイが配合されて誕生したヴェルテックスは、新馬戦こそ札幌芝1500m戦を使われた(14着)が、2戦目以降はダートの中距離を使われてきた。

 ジャスタウェイの産駒には、前年このレースを制したマスターフェンサーや、今年JBCレディスクラシック(金沢1500m)制したテオレーマなどダート重賞の勝ち馬もいて、ヴェルテックスのダート長距離適性はその父から引き出されたと思われる。まだ4歳だけに、今後はマスターフェンサーと同じように、地方の2000m以上のダートグレードでの活躍が期待できそうだ。

 前走初ダートのみやこSで13着惨敗だったダンビュライトは、4コーナーまではケイアイパープルに食い下がっていたが、最後は脚が上がり、ケイアイパープルから4馬身離れての3着。ダートが合うのか合わないのかというより、長距離適性でなんとか粘った感じだった。

 地方馬最先着の4着は、ダンビュライトにゴール前でクビ差まで迫った大井のホーリーブレイズ。先行4頭からやや離れていたものの、道中は5番手を追走していた。5着ドスハーツ、6着船橋のトーセンブル、7着北海道のルールソヴァールは、縦長のさらにうしろからの追走で、能力差もあったとはいえ前残りのレースだったので、このあたりの着順は道中の位置取りの差だった。

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