【勝負の分かれ目 シンザン記念】馬本位の先行策で、横山典弘騎手のマテンロウオリオンが重賞初制覇

2022年01月09日(日) 18:20

横山典弘騎手の好騎乗でマテンロウオリオンが優勝(c)netkeiba.com

 シーズザデイがハナを切り、ジャスティンヴェルモズゴールドバレルがつづく。

 横山典弘が騎乗する10番のマテンロウオリオンは、スムーズにインに切れ込みながら、シーズザデイから2、3馬身後ろの先行馬群の内つけた。横山は少しだけ重心を後ろにかけ、ガチッと手綱を抑えている。

「前走(万両賞1着)は後ろで上手く折り合っていたんですけど、3戦目の今日は馬がやる気満々だったので、返し馬のときから抑えるのは難しいと思っていました。スタートもよかったので、ギリギリ引っ張り殺さないような、一番いい位置で折り合ってよかったです」と横山。

 その後ろにビーアストニッシド、差なくソリタリオがいて、1番人気に支持されたクリストフ・ルメールラスールはそれらの後ろにつけた。ビーアストニッシドラスールは、前に行きたがって折り合いを欠いている。

 マテンロウオリオンは、引っ張り切りの手応えのまま3、4コーナーの内を回り、前を2馬身ほどの射程にとらえたまま直線へ。横山は、先頭を行くシーズザデイの内にマテンロウオリオンを誘導し、手の動きを速めた。そのゴーサインに応えたマテンロウオリオンは、ラスト300m付近で一気に先頭に躍り出た。

 外からモズゴールドバレルソリタリオらが迫ってくる。伸びのいいソリタリオが並びかけようとしてきたラスト200m地点を過ぎてから、横山は初めて右ステッキを入れた。

 ソリタリオが差を詰めようと接近すればするほど、マテンロウオリオンは抜かせまいと脚を伸ばす。並ばれてからの強さ、いや、その前に簡単には並ばせない強さは、父ダイワメジャー譲りのものか。

 マテンロウオリオンが、ソリタリオの猛追を首差で退け、先頭でゴールを駆け抜けた。

 今日の中京の芝は前がなかなか止まらず、外差しの利きづらいレースがつづいていただけに、それを意識した部分もあっての先行策だったのかと思いきや、横山は「馬本位です」と言い切った。

 一方、単勝1.8倍という圧倒的支持を得ていたラスールは、コンマ6秒差の7着に終わった。直線入口で前が壁になっており、スムーズに進路を確保できなかったこと以上に、道中折り合いを欠いたことが響いたように見受けられた。

 マテンロウオリオンは、2着となった新馬戦から中1週で万両賞、さらに中1週でここという厳しいローテーションで結果を出した。2代母がオークスレディパステルという奥行きのある血統だけに、今後もスケールの大きな走りを見せてくれそうだ。

(文:島田明宏)

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