【アイビスSD】ビリーバー 重賞奪取 主戦杉原も厩舎もオーナーも初タイトル

デイリースポーツ

2022年08月01日(月) 06:10

 ライバルを完封したビリーバー(手前)と杉原(撮影・園田高夫)

 「アイビスサマーダッシュ・G3」(31日、新潟)

 7番人気の7歳牝馬ビリーバーが、グイッと伸びて待望の重賞初制覇。デビュー12年目の杉原、開業28年目の石毛師、オーナーのミルファームにとってもうれしい初タイトルとなった。2着は2番人気のシンシティ、3着は14番人気のロードベイリーフ。また、注目された女性騎手対決は、藤田菜七子騎乗のスティクスが5着、今村聖奈騎乗のオヌシナニモノは15着に終わった。

 真っ青な越後の夏空へ向けて、杉原の右手が力強く挙がった。信じる者、ビリーバー。馬はもちろん主戦も厩舎もオーナーも、みんなそろって重賞タイトルに手が届いた。まさに栄冠を信じた陣営による絆の勝利だ。

 鞍上が振り返る。「いつも以上にスタートが速かったし、理想通りのポジションを楽に取れました」。前から3列目。ラチ沿いを抑え切れないほどの手応えで追走した。「あとは前が開いてくれと」。その祈りが通じたか、ラスト200メートル過ぎでパッと視界が開けると、シンシティの内からグイッとひと伸び。最後は1馬身差をつけ、フィニッシュラインへ飛び込んだ。

 11年に藤沢和雄厩舎(22年2月末で解散)からデビューした杉原。多くの名馬を間近で見ながら努力を重ね、20代最後の夏に花開いた。「時間はかかりましたが、藤沢先生が引退されて、フリーとして心機一転。自分なりに何とかしようと思っていましたし、勝てたことは大きいです」。まだあどけなさを残す甘いマスクを崩した。

 開業28年目の石毛師にとってもうれしい重賞V。当初、1/2の抽選対象とあって「何とか出走させたかった」と願っていたが、ゲートインがかない、しかも16番の絶好枠。「うまくいく時はこんなものだね。関係者のみんなが努力してくれたおかげ」と目を細めた。

 30回目のコンビで初めてのお立ち台。主戦は「これからは重賞勝ち馬として頑張ってほしい」とエールを送った。次走は未定だが、サマーシリーズ続戦も視野に。ついに殻を破った人馬の夏はさらに熱くなるはずだ。

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