ヨカヨカ、熊本産馬期待の星

2020年06月22日(月) 20:38 1 3

 熊本生まれの競走馬「ヨカヨカ」がデビュー戦となる中央競馬のレースで並み居る北海道産の馬を抑え、1着の快挙を成し遂げた。

 生産者は熊本市東区戸島町でサラブレッドの牧場を営む本田土寿[つちとし]さん(59)。九州産馬が限定戦以外で勝利するのは2年10カ月ぶり。本田さんは「何とも言えないくらいうれしい。九州産馬の魅力を多くの人に知ってほしい」と語る。

 「よし、いけいけいけ…勝った、勝ったぞ!」。ヨカヨカが出走した13日の阪神競馬場(兵庫県宝塚市)新馬戦第5レース。本田さんは獣医師の長男(32)が勤める九州軽種馬協会(鹿児島県)のテレビで観戦。出遅れたものの、第4コーナーから抜け出て差し切ったヨカヨカのゴールの瞬間、本田さんは立ち上がって絶叫し、目に涙を浮かべた。

 ヨカヨカは2歳の牝馬。額に白の星印があり「きれいで素直な優等生タイプ」と本田さん。レース前から人気があり、騎乗した福永祐一騎手は「ラジオNIKKEI」(インターネット版)で、「九州産の中では力はかなり上位だと思います」とコメントした。

 競馬界では北海道産が主流で、ほかの産地の馬はなかなか歯が立たないのが現状だ。競争馬の血統登録をする「ジャパン・スタッドブック・インターナショナル」(東京)によると、2019年の全国の生産頭数は7387頭で、うち北海道産が97・8%を占める。九州産は熊本産の36頭を含め、わずか64頭だった。

 農家出身の本田さんは小学4年のころ「馬に乗りたい」と両親にせがみ、1頭買ってもらった。自分で世話をし、走る時の美しさと力強さ、エサを食べるしぐさのかわいらしさに魅せられ、生産者の道を選んだ。「安心感と力をもらう。馬のことしか考えとらん」と笑う。

 広さ約1ヘクタールの牧場で、子馬など約30頭を育てる。熊本地震ではパニックになったり、体調を崩す馬も少なくなかった。「多くの人に心配を掛けたが、こうして元気な馬の姿を見てもらうことで少しでも恩返しができれば」。馬の世話にも力が入る。

 本田さんが育てた馬は、小倉競馬場(北九州市)で8月に開催される九州産馬限定レース「ひまわり賞」を2連覇中。23日には鹿児島である競りに、ヨカヨカの妹で天皇賞などを制した「カンパニー」を父に持つ馬が出される。本田さんと熊本生まれの馬たちの挑戦は続く。(飛松佐和子)

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