矢作師 入厩検疫システム改革が早急に必要

2020年06月24日(水) 06:20 0 4

 前回は年々、出走実頭数が増加し、出走延べ頭数が減少している=1レースあたり平均出走頭数と1頭あたり出走回数が減少している。

 これにはさまざまな要因が複雑に絡み合っているが、その主たる原因は入厩検疫にあるというところまで述べた。もうひとつの大きな要因としては競走馬登録数の増加(=新馬の増加)があるが、これについては馬主さんの意向もあり仕方のない部分なので、改善の余地が大きい入厩検疫に絞って論を進めていきたい。

 とにかく検疫が取れない。毎年春の新馬入厩時期や3歳未勝利戦終了時はラッシュとなるのだが、特に今年の春はひどかった。毎週毎週、検疫は満杯の状態で、週に1厩舎3頭程度しか馬の入れ替えができない。入厩させて競馬に使いたい馬の予定がどんどんずれ込んでいく。これでは出走頭数が減少するのは必然である。それも目標とするレースが限られているオープン馬や上位条件馬の予定はずらせないから、予定が先送りになるのは未勝利馬や下位条件馬が多くなり、頭数の少ない個人馬主さんほど影響が大きい。

 検疫システムについては歴代業務課の努力もあり、随分と合理的に改善されてきた。ラッシュ時には臨時的に頭数も増やしている。しかし、もうこのままのシステムでは限界だ。物理的に検疫厩舎が足りない。ファンへの情報公開や公正確保の観点から現在の内厩制と在厩義務期間は堅持しなければならない。今のままではそれらを守るための関所となっている検疫がむしろ足枷となってしまいかねない。

 そこで取りあえず考えられるのは、検疫厩舎の1日2回運用である。頭数が単純に2倍になれば当面の危機は回避できる。その上で更なるシステムの改善に向けた議論をしていくべきだろう。自分なんかでは考え付かない素晴らしい発想がいくらでも出てくるように思う。いずれにしても時は待ってくれない、早急に抜本的な改革が必要なことだけは確かである。

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