デアリングタクト「らしい体になってきた」

2020年09月15日(火) 22:01 0 2

デアリングタクト(栗・杉山晴、牝3)を担当する中井健司獣医師(39)を直撃。2冠牝馬の強さの秘密と可能性を、馬体面から探った。

 無敗で2冠を制し、歴史的名牝への階段を駆け上がるデアリングタクト。デビュー前から触れてきた中井獣医師は、驚きを隠せない。

 「最初は腰が甘い印象でした。ほとんどの2歳馬がそうですが、いわゆる『緩い』というやつですね」。入厩直前だった1年前の秋、宇治田原優駿ステーブル(京都府綴喜郡)での初対面の印象だ。そんな状態の馬が、新馬戦(11月16日、京都芝1600メートル)で圧巻の差し切りを演じた。

 「驚きましたね。まだ体が仕上がってない未完成の状態で、あれだけの走りをするとは…。生まれ持った骨格や心肺などがすごい」。幼さの残る馬体で、無傷の3連勝で桜花賞を制覇。中井さんが変化を感じ始めたのはオークス前だった。

 「桜花賞の前も緩さを感じていましたが、オークス前は馬体もやや成長し、腰やトモ(後肢)が強くなったと感じました」

 重馬場で激走した桜花賞後は疲れが見られたが、その経験が進化を後押し。オークスは4コーナー13番手から上がり3ハロン33秒1の豪脚で差し切ったが、疲労は感じられなかった。「ダメージがまた、馬体や筋肉の成長につながります。桜花賞が、オークスに向けての成長につながったんだと思います。走る能力があって、それを発揮できる体になってきた」。8月に宇治田原優駿Sで約2カ月ぶりに対面し、また成長を実感した。

 「少し背も伸びて、大きくなった印象。体幹がともなってきましたね。やっとこの馬のパフォーマンスに合った、“らしい”体になってきた」

 デアリングと同じような感覚で一流に上り詰めたのが、GI2勝馬のファインニードルだ。4歳秋に重賞を初制覇し、5歳では春秋スプリントGIを制した。

 「ファインニードルも最初は、それほど見栄えのする馬ではありませんでした。クラシックやGIで活躍する馬は、成長力が共通してすごい」

 デアリングタクトは、成長途上ながら無敗で2冠奪取。「末恐ろしい」一頭とは、人生でも大きな出会いとなった。

 「光栄です。どこまでの馬になってくれるのか楽しみにしています」

みんなのコメント

現在のコメント数0

みんなの投稿ニュース

サービス終了のお知らせ 長きにわたってご愛顧いただきました「みんなの投稿ニュース」ですが、8月22日(予定)を持ちましてサービスを終了することになりました。
長らくのご利用、誠にありがとうございました。
なお、コラムコンテンツにございます「みんなのコラム」は引き続きサービスを提供しておりますので、ご自身で執筆される記事の投稿につきましてはこちらをご利用くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。※記事の転載等は禁止しております。投稿ガイドラインをご確認ください。

ランキング