地方競馬 好調も「言うほどもうかって…」

2020年10月30日(金) 07:27 2 4

 地方競馬の売り上げは絶好調だ。外出が控えられた4〜7月末は、中央競馬の売り上げは堅調。一方、地方の売り上げは3112億8914万円で、前年同期比33・1%増を記録した。現金発売が年間売り上げの約3割を占める中央と違い、地方はもともとインターネットでの馬券購入者が多いことが影響したとみられる。

 地方競馬の売り上げは昨年度、22年ぶりに7千億円の大台に乗ったが、今の勢いが続けば今年度は9千億円到達も夢ではない。約30年前に記録した平成3年度の約9862億円を超える可能性もある。

 19年から全主催者の全競走を発売している「楽天競馬」の広報担当者は、「会員数は以前から増加傾向にあるが、ステイホーム期間中の4〜5月は特に伸びが顕著だった」と話す。年齢層別にみると、前年同時期と比べて新規会員で最も多いのが20代だという。「コロナ禍で場外施設、競馬場での購入層がネットに移行したというより、新規競馬ファンが増えたと考える方が自然かもしれません」

 「“コロナ・バブル”とは心外ですね。言われるほどもうかってはいません」と話すのは、北海道帯広市の帯広競馬場を所管する、市ばんえい振興課の担当者だ。

 帯広競馬場も、歴史的な売り上げ増を記録している。4月〜9月末の売り上げは前年同時期比約60%増。令和2年度の開幕日である4月24日には、同市単独開催となった平成19年以降で歴代最高の5億9233万円を1日で売り上げた。

 ただ、市はこの状態を手放しで喜んでいるわけではない。同課の担当者は「実際の収入はそのうち数%だけ」と説明する。売り上げのうち、75%は払い戻しに充てられ、ネット販売会社の取り分は10〜15%にも上る。

 施設維持費に回す分も必要だが、老朽化した施設の建て替えは思うように進んでいない。「いくらネット発売が好調でも、手数料負担がある。このまま『現金発売』が伸びないと厳しい」という。さらに現状はコロナ禍による一時的な人気の可能性もあり得るとみる。「競馬自体の魅力で売り上げが伸びたわけではないので、もろ手を挙げて喜べない」と複雑な反応だ。

 北海学園大学経済学部の古林英一教授は「ネット発売がなければ廃止に追い込まれた競馬場も出てきただろう」とした上で、「現在の売り上げは一種のバブルのようなもの。これからどう定着させ、競馬場に呼び込むかが課題だ」と指摘した。

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