角居調教師 ジャパンCは騎手同士の戦いに

2020年11月20日(金) 23:55 0 3

角居勝彦調教師(56)がジャパンCについて思いをつづり、今後のあり方についても見解を示した。

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ジャパンC創設から間もない頃は北海道の牧場で働いていました。見てびっくりしたのが、パドックで女の人が外国馬を引いていたことです。当時は馬といえば「危険な動物」という認識だったので、G1を勝つような馬を女性がつくっていることに驚きました。

厩舎で働き始めてからも外国馬の調教に興味津々でした。ほぼ引き運動だけの調整で勝ってしまう馬もいて、周りの助手や厩務員の中には休暇をとって外国馬の調教を見学に行く人もいました。他にも空輸方法など不思議だらけでした。

調教師となってからは物差しのレースになりました。地の利があるにしても、いい競馬ができればオーナーサイドに「海外へ行きましょう」と説得する材料にもなります。

ウチの厩舎からはウオッカとエピファネイアが勝ってくれました。くしくも2頭とも欧州の騎手へ乗り替わっての勝利でした。例えば我慢が利かない馬に乗る場合に、日本の騎手はまず道中でなだめるのを優先することが多いですが、欧州の騎手はまずポジションをとりにいき、そこから我慢させることが多いです。今では海外のトップ騎手が短期免許で来日するのが当たり前になって変わってきましたが、かつては両者の違いが明らかでした。

現在は14年連続で日本馬が勝っていますし、海外勢は馬でなく騎手の活躍が目立ちます。海外のホースマンに対して、日本競馬のイメージ向上に貢献している面はあると思います。

残念ながら海外馬が来日することはなくなりました。日本馬のレベルが上がり、高速馬場への対応も難しく、もはや「おいしいレース」ではありません。特に牡馬は欧州だと賞金よりも種牡馬としての価値を重視するため、超一流馬がリスクを背負ってまで挑戦しづらい状況です。同じ時期にある香港国際の方が通用する可能性が高い点もあるでしょう。

日本側もやむを得ない状況にあると思います。昨年のように外国馬がゼロでも馬券は売れますし、今の芝をデコボコの重い馬場にするわけにもいきません。高速馬場でも故障が少ないのは、日本の優秀なメンテナンス技術の成果でもあります。開催時期移動も難しいでしょう。国内外のスーパーホース同士の戦いではなく、スーパージョッキー同士の戦いを楽しむのが今のあり方なのかもしれません。

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