2015年06月04日(木) 12:00
ドゥラメンテのダービー制覇はその事を考えさせてくれた。皐月賞で見られた気性の荒々しさと、それを完全に吹き飛ばした強さ。ダービーを前に、当初は評価が分かれた。冷やかな見方をするもの、それを打ち消す過分な評価、よくあることだ。当事者は困惑する。身内であれば、当然よき方向に思いを向けていく。しかし、突きつけられた問題を解決させないことには、目的は達成されない。他の評価もさることながら、まず当事者自身が素直に自問自答し、そこからなにがしかをつかんでおかなくてはならない。デムーロ騎手は、現実を直視してどう対処するかをつかんでいた。何よりも、こういう馬が好きだとまで述べ、その矯正に自信を見せていた。
スタンド前からスタートは馬も平常心ではいられず、折り合いのムズカシイところが見られたが、第2コーナーをすぎてから落ちついていた。折り合っている。双眼鏡を手に数えてみたら8番手、これなら勝てる。その確信は、3コーナー手前でもう得られていた。デムーロ騎手の心の内はどうか。あの懸命に懸念を払いのけていた言葉は、ほかならぬ自分自身に課したもの、それだけここまでの思いは並大抵ではなかった筈。全てうまくいっている、よかった、そんな心持ではないか。言われれば言われるほど打ち消す思いを強くしたのは堀調教師と同じだったろう。このままではいけない。全神経を集中させ戦況を見つめ、確乎とした思いを強めていったのではないか。言われるほどひどいことはないんですよ、そうもらした言葉が印象的だった。
つい他人の思惑によって生きている場合が多い世の中、その考え、そのふるまいに誤りがなかったかどうか、素直に正しく自己評価することの意味を感じたし、すべてを受けとめ自問自答することがその前提にあることを見せてくれたダービーだったと思う。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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