種牡馬の新馬戦固め打ち

2015年06月20日(土) 12:00


新馬戦を楽しむ1つの手がかり

 JRAで今年の2歳新馬戦が始まって2週間。すでに9頭が新馬勝ちを収めています。

 ご存知のとおり、先週14日に東京と阪神で行われた3つの新馬戦は、すべてダイワメジャーの産駒が勝ちました。同日の3つ以上の新馬戦をすべて同じ種牡馬の産駒が勝つ、というのはたいへん珍しいことでしょう。でも、改めて調べてみると、ダイワメジャーだったらそれもアリかな、とも思える事実を見つけたのです。

 このところ、JRAの2歳新馬戦は6月の東京、阪神開催からスタートしています。その各1開催(4週間)と第1回函館開催の新馬戦について、どういう種牡馬の産駒が勝ち星を挙げていたか、過去3年(2012年まで)にさかのぼって調べてみました。すると、ダイワメジャーの産駒は、3年連続で複数の勝ち星をマークしていたのです(12年=フラムドグロワール、トーセンレディ、13年=オールパーパスとマーブルカテドラル、14年=マコトダッソー、グランカマラード、スペチアーレ)。

 実は、ここ3年の上記開催新馬戦で毎年勝ち馬を送り出しているのはダイワメジャーとネオユニヴァースだけ。ディープインパクトは13年3回東京6日目のリターンラルクが勝つまで、この3つの開催では新馬戦勝利馬を出せませんでした。またキングカメハメハとハーツクライの産駒(去年のリーディングサイアー2、3位)は、ここ3年の同開催では勝ち星がありません。6月の東京、阪神と第1回函館の2歳新馬戦は、ダイワメジャー産駒に注意と言っていいでしょう。

 同馬の産駒は、20日の東京第5レースでサトノオマージュとマイネルリプケン、21日の阪神第5レースでジェントルハートがデビューします。おそらく来週以降も出走を予定している2歳馬がいるはずですので、出てきたら注目しておきましょう。もし勝てば、この時期の新馬戦4勝目。これは、去年の同馬とスニッツェル、ディープインパクトがマークした3勝を上回る“固め打ち”となります。

 一方、今年の新種牡馬も頑張っています。7日の阪神でカジノドライヴ産駒のコウエイテンマ、13日の東京でアンライバルド産駒のトウショウドラフタが勝ちました。この時期の新馬戦で複数の新種牡馬(国内で供用)が新馬勝ち馬を送り出した、というのは、過去3年にはなかったことです。

 ダイワメジャーも、11年に初年度産駒のダローネガが4回阪神2日目(6月19日)の新馬戦で初の勝ち名乗りを上げて以来、先に書いたような活躍を見せています。また、7日の東京新馬戦に勝ったロードクエストの父・マツリダゴッホも、これで初産駒がデビューした13年以来、3年続けてこの時期の新馬戦勝利をマークしました。

 こういうデータをもとに馬券を当てるのは難しいでしょうが、それを頭の片隅にでも入れておけば、この時期の新馬戦を楽しむ1つの手がかりになるかもしれません。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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