Aiba浦河、改装オープン

2013年08月14日(水) 18:00

 ホッカイドウ競馬の場外馬券発売施設として、平成15年から町内大通り3丁目のショッピングセンターMio内二階に開設されていた「Aiba浦河」が、このほど階下の旧ホクレンショップ跡に移転し、8月9日(金)にリニューアルオープンとなった。

 従来、手狭なことが最大の悩みの種であったが、新Aibaは451平方メートルのスペースを確保しており、一気に三倍の床面積である。収容人員は最大250人。これでかなりゆったりと馬券を愉しむことができるようになった。

新装なったAiba浦河の内部

新装なったAiba浦河の内部

 新Aiba浦河のもうひとつの改善点は、9日(土)の開催分より中央競馬の馬券発売を開始したこと。これは浦河町民のみならず、軽種馬関係者にとっても朗報で、新ひだか町にしかなかった中央の場外馬券発売所が、ついに日高東部のわが町にもできたことになる。これで、浦河、様似、えりもなどの競馬ファンには一段と利便性が高まるはずだ。

 8日は開場に先立ち、関係者約60人が出席して内覧会を実施。その後、午前10時にオープンすると一般ファンが次々に来場した。この日、ホッカイドウ競馬の開催はなく、南関東浦和競馬の発売を行ない、そして翌9日(土)よりいよいよ中央競馬の発売が始まった。

 9日午後に場内を覗いてきた。なるほど旧Aibaから比べると格段に広くなり、居心地は良さそうだ。旧Aibaは、ホッカイドウ競馬3番目いわゆる“ミニ場外”として開設された施設で、徹頭徹尾無駄を省いた狭隘な空間であった。開催日ごとに通っているような常連ならばいざしらず、滅多に行かないファンからしてみると、ひどく入りにくい印象が強かった。さながら、田舎町の場末のスナックにでも足を踏み入れたような違和感があり、常連客で占められている店の中に迷い込んだ時のような居心地の悪い空気が漂っていた。

 ともかく、これで快適度はかなり上昇したと言える。後は、どれだけ売り上げを確保できるかであろう。今年度は、中央開催分も含め、11月14日まで開催されるホッカイドウ競馬や南関東、ばんえい競馬なども合わせて3億4165万円の売り上げを見込んでいるという。この新Aibaが手狭になるくらいに人々が集まってくれたらしめたものだが・・・。

 課題のひとつは、駐車場である。この新Aibaは、西側に総合文化会館(大ホールや図書館などを有する)と繋がり、東側にはパチンコ店やホテルなどが隣接している。これらを利用する人々がほとんどこの建物の二階と三階部分に設けられた駐車場に車を止める。

Aiba浦河の入っているショッピングセンターMio

Aiba浦河の入っているショッピングセンターMio

新Aiba横の空きスペース

新Aiba横の空きスペース

 普段、何もない時ならばいざ知らず、例えば総合文化会館などで催し物があれば、以前から駐車スペースの足りないことが問題視されていた。これに、例えば春秋のGI競走などが重なると、かなりの混雑が予想される。もともとホテル利用客やパチンコ店を訪れる客などで一定数の車は絶えず駐車しており、決して余裕があるとはいえない。300台分の無料駐車場は確保されている由だが、これは従来通りの話で、Aiba新装オープンに合わせて新たな駐車スペースが増設されたわけではない。

 もうひとつは、Aiba浦河の入っているショッピングセンターMioが、今や空きスペースの方が多い閑散とした店内になっており、競馬ファンにとっては飲食にもこと欠く状態になってしまっていること。今後はAibaを訪れたファンのために飲食店や「VIPルーム」の整備も順次進められるとのことだが、6月末よりAibaの移転工事が始まっていたのと合わせてなぜ同時進行ができなかったものか。新Aibaの横はかなり広々とした空きスペースで、いかにももったいないと感じる。ここを何か有効利用できないのか、と今回改めて思った。どう考えても遊ばせておくには惜しい。

 大通り商店街の関係者は、新Aibaオープンに大きな期待を寄せているという。中央競馬の馬券発売を開始することになり、これまで足を運ばなかった人々がここを訪れ、相乗効果が期待できるからだという。その気持ちは理解できなくもないが、あまり過大な期待は持たない方が良かろう。競馬ファンは馬券を愉しむために来場するのであって、そのついでに買い物までしてくれるかどうかは疑問だからだ。買い物をしたくとも、前述のようにショッピングセンターの中身がほとんど骨抜きになってしまっている現状ではどうしようもない。まとまった買い物は他地区の大型店舗に出向き、日用品などは町のスーパーかコンビニで済ませる。さもなくばネットを利用して通販で買い物をする。それが今のライフスタイルである。新Aibaオープンが地元商店街の活性化に繋がるのならばベストだが、とても単純にそうなるとは思えない。

 何より、この地域は依然として人口流出に歯止めがかからず、地域の購買力そのものが下降線を描いている。Aibaだけが新しくなっても、それを取り巻く環境や条件は何一つとして変わっていないところが実は最も大きな問題点なのである。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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