2018年05月23日(水) 18:01 38
▲現役トラックマンとのSP対談の最終回、穴馬記者が推す一頭とは!?
馬サブロー・妹尾和也記者をお迎えしての“現役ジョッキー×現役トラックマン”のスペシャル対談。最終回の今回は、ダービー展望をお届けします。ダノンプレミアム、キタノコマンドール、ブラストワンピース…有力各馬に対しての妹尾記者の期待度は? そして、競馬で間近で見てきた佑介騎手の目には、それぞれどう映っているでしょうか。(構成:不破由妃子)
(※この対談は4月24日に実施いたしました。ダービートライアルが終了した後に追加取材をしており、その内容は文末に記載しております。なお、佑介騎手は5月20日の京都6Rで開催2日間の騎乗停止処分となり、騎乗予定だったサンリヴァルは浜中俊騎手に変更となりました)
──ダービーまでまだ1カ月(取材時点)近くありますが、妹尾さんが現時点で気になっている馬を教えてください。
妹尾 皐月賞組では、やはりキタノコマンドールが気になりますね。皐月賞は正直、「完成度も経験値もGIに入るとどうなのかな…」と思っていたのですが、勝負どころで外を回りながら、ワグネリアンなどを飲み込んで掲示板に載ってきましたからね。さきほど佑介騎手が「皐月賞からの6週間でどれだけ変わってくるかが大事」だとおっしゃっていましたが、未完成なぶん、そういった意味でも注目したいです。
佑介 キタノコマンドールは皐月賞で初めて一緒に走ったんですけど、当日ポケットで馬を見た感じでは、幼くて皮膚もちょっと厚めで、まだ絞れそうだなという印象だったんです。それであの脚を使ってくるんだから、やっぱりたいした馬だなと思いましたね。
妹尾 東京も合いそうですしね。本当によくなってくるのはもっと先かもしれませんが、現時点でも思った以上に強い。今年の皐月賞からダービーへの優先出走権が5着までになりましたが(昨年までは4着以内)、そんな年にきっちり5着してきたあたりも持っているというか。グレイル(6着)とのあのハナ差は本当に大きかった。そのほかでは、毎日杯を勝ったブラストワンピースがすごく気になっています。
佑介 わかります。東京の2400m(2月4日・ゆりかもめ賞)を勝ったあとに、阪神の1800mを使いにきたっていうのが面白いですよね。しかも、ダービージョッキー(池添騎手)が「毎日杯は、(ダービーへの)テーマを持って臨んだ」とコメントしていましたからね。
妹尾 そのテーマというのを、僕はまだあまり消化できていないのですが…。
佑介 池添さんと直接話したわけではないし、どういう馬なのかもわかりませんが、僕が思うに、ダービーでいち早くいいポジションを確保してリズムよく走らせるために、出脚がほしかったのではないかと。ゲートからの促し方を見てそう思いました。ダービーまで間隔が空くこともあり、「毎日杯でしっかり競馬をさせた」という印象ですね。
▲「ダービーまで間隔が空くこともあり、しっかり競馬をさせたという印象です」
妹尾 なるほど。いや、おっしゃる通りかもしれません。
佑介 3歳のこの時期に2400mの500万を使われる馬というのは、本来ならスピードが足りない馬が多いと思うんですけど、ブラストワンピースの場合、2400mでも1800mでも強い競馬ができることを証明しましたよね。
妹尾 まさにスピードとスタミナを兼備したタイプということですね。血統も一本筋が通っていますし、かなり面白い存在だと思います。血統でいえば、サンリヴァルも東京2400mで真価を発揮しそうな血筋ですよね。
佑介 父の母がエアグルーヴ、母の母がウメノファイバーという“オークス血統”ですからね。ひょっとしたら東京2400mでさらに化けるかも…という楽しみはあります。まだ僕が知らないギアがありそうな気もしていますし。
──妹尾さんは、ワグネリアンの巻き返しについてはどう見ていらっしゃいますか?・・・
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。