【テレビユー福島賞】実績あるスプリント血統がここで目覚める

2020年07月10日(金) 18:00

夏競馬特有の事情でレースは混戦模様

 福島→新潟と続くシリーズには、3勝クラスの芝の短距離戦はしばらく組まれていないため、除外馬が10頭も出た。ただ、出走馬にはダートの短距離や、芝のマイル以上では勝っていても、芝1200mで勝ったことがない馬が6頭もいる。なおかつ、そのうち「アユツリオヤジ、アーバンイェーガー、ダイワメモリー、ブレイブメジャー」の4頭は、芝1200mへの出走が初めてになる。全体レベルはかなり低調。

 このクラスは、夏のローカルシリーズで適鞍を求めるのは難しい。関西遠征、関東遠征ならともかく、長期展望がないと、いきなり北海道シリーズに遠征はできない。過去5年、さすがに芝1200mが初めての馬が馬券に絡んだ記録はない。平坦に近いローカルコースはダート巧者がこなしやすい条件とはいえ、大きな死角がある。

 ただし、初の芝1200m出走とはいえ、ブレイブメジャーの母シーイズトウショウ(その父サクラバクシンオー)は、セントウルS、CBC賞2勝、函館スプリントS連覇など、全7勝が芝1200mだった。ブレイブメジャーは先行して芝1600mに1分32秒9が2回もあり、強敵相手に1400m1分20秒0(上がり33秒8)だった前回の中身も、1200mヘの対応十分可能を示している。

 行きたがるのをなだめるように一旦下げ、直線で伸びた前回、着順は5着でも勝ち馬との差は0秒3だけ。残り200m、自身の1200m通過は推定1分08秒4。やっとではなく、それから他馬と同じように最後は11秒6で伸びたから1分20秒0だった。その際よりメンバーは大幅にレベルダウンしている。

 祖母は未勝利馬だが、その半姉には桜花賞馬シスタートウショウなど、一族には多くの活躍馬、快速馬が並び、母シーイズトウショウは、ウオッカの母タニノシスターといとこの間柄でもある。

 父ダイワメジャーは、自身は2000mの天皇賞(秋)、皐月賞馬なのに、産駒のGI勝ちは1600m以下限定という不思議な種牡馬。だから、ブレイブメジャーの距離延長は心配でも、短縮なら死角は少ない。

 福島芝1200m【0-2-2-0】の7歳ナンヨーアミーコは、さすがにもう上昇は乏しいが、ベテラン柴田善臣とウマが合う。ここは右回り1200mだった2走前、4走前の内容で十分に足りる。前走の船橋Sでそのナンヨーアミーコにハナ差先着しているワールドフォーラブは先行もできるので、逆転も可能な3番手。次いでヤマニンペダラーダ。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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