2021年11月20日(土) 12:00
きのう19日(金)から、大井競馬で左回りのレースが始まりました。
南関東4場の中で唯一の右回りだった大井競馬場。そこで左回りの競走を行うというのは、ゴール板やら何やら、着順判定施設などの新設に多額の費用がかかったはず。地方競馬活性化の流れと近年の馬券売上向上がなければ、できなかったことかもしれません。
当面は1開催に1回、1650メートルのレースが行われるだけ。まずは“試乗会”のような形から、ということでしょう。
TCKホームページに、左回り競走実施に取り組まれた大井競馬開催執務委員長・斉藤弘さんの“トップメッセージ”が載っています。
それによると、モデルとなったのは、フランス・パリにあったメゾンラフィット競馬場(2019年で閉場となったものの、今年10月に再開へ向けて動き出したようです)とのこと。もうだいぶ前に一度だけ訪れた、セーヌ河畔の緑豊かな競馬場ですが、そこでは、直線競馬のほか左右両回りのレースを実施して番組に変化を加えていました。
てっきりアメリカのダート競馬と他の南関3場を模してのものだと思っていたのですが、これはちょっと意外。でも、そこから先の話を読むと、やはりダート競馬の本場・アメリカを見据えていることがわかります。
“トップメッセージ”では、1000メートルや2000メートルの競走や左回りの重賞もお届けできる、サンタアニタ競馬場との提携関係を利用して向こうから優秀な馬を送り込んでもらう、なんていう将来像も語られています。
ただ単に、右回りの競馬場で左回りのレースをやる、というだけでは済まない、さまざまな“波及効果”が期待できそうです。
さぁそうなると、勝手に夢を膨らませてしまうのが私のクセ。アメリカのブリーダーズCから中京のチャンピオンC、大井の東京大賞典、ペガサスワールドC、そしてドバイワールドCへと繋がるダートの“インターナショナルシリーズ”を催せないものか、と思ってしまいました。
もちろん、そんな壮大な夢を実現させるには、各主催者間の協調が不可欠。レースとレースの間隔をどうすればいいかとか、川崎記念やフェブラリーSをどう位置付けるかとか、細かい(いや、けっこう重要な)問題も発生してくるでしょう。
とはいえ、TCKのホームページにもあるように、「常識は絶対ではない。当たり前を、疑え」です。
ミューチャリーがJBCクラシックを制し、ブリーダーズCディスタフでマルシュロレーヌが優勝した今年、この言葉はより一層強く響いてくるような気がします。
ついでに言えば、大谷翔平選手が二刀流でアメリカンリーグのMVPを獲得する“時代”が到来したのです。日本競馬から、芝とダート、右回りと左回りの2×2=“四刀流”で大活躍する馬が出てきてもおかしくない、ですよね!
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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