シゲルスダチ、奇跡的にほぼ無傷

2012年05月10日(木) 18:00

 今回は珍しく先週お伝えした3頭のその後をお伝えします。

 まず、先週のNHKマイルCの最後の直線で落馬したシゲルスダチの近況から。岩田騎手のマウントシャスタに進路を狭められたシゲルスダチ。鞍上の後藤騎手が転げ落ちただけでなく、スダチ自身もかなりの距離(数十メートル?)を腹から滑ってしまいました。関係者によると、騎手だけでなくスダチ自身も数秒倒れていたとのことでした。誰の目から見てもひどい落馬事故。あまりの転げ方に、レース中から被害馬であるシゲルスダチの安否が気になって仕方ありませんでした。


シゲルスダチ転倒もほぼ無傷!

シゲルスダチ転倒もほぼ無傷!

 しばらくして無事だとの報告が入り、JRAの公式発表でも馬は異常なかったとの発表。とはいえ、少々の擦り傷や打撲があっても不思議ありません。骨折が後日判明することもあります。心配な気持ちを胸に火曜の朝、厩舎を訪ねたところ…なんと! スダチはほぼ無傷でした。

「奇跡的ですよね。左の蹄の上にほんの僅かだけ傷があっただけなんです」と担当の鈴木さん。 その傷をつくった、という部分ですら、ごくわずかにその箇所に毛がないだけなんです。

 レースを完走した馬ですら、もっと傷をつくって帰ってくるのは当たり前なのに。ほんと、びっくり。ほかの部分、体全体を見渡して傷らしきものあっても「それはだいぶ前の傷跡」「あ、それはウンコの上に寝て汚れてるだけ(笑)」と鈴木さん。いやはや、恐れ入りました。

 鈴木さんはゲートについていったため、落馬の瞬間は(スタート地点に付き添った関係者を乗せるための)バスの中でテレビをみていたそうです。

「落馬した馬がスダチだったので『あっ、ウチの子や!!』とバスの中ですごく動揺しました。レース直後、バスが1コーナー付近で止まったので、そこから『スダチー!!』と絶叫しながら走りました」

 スダチが転倒したのはゴール手前350m付近。1コーナー付近からそこまで軽く500mはあるでしょう。

「でも、ああいうときって走れるんですね。スダチはなにが起きたのかよくわかっていないようでキョトンしていました。そして、無事を確認したら嬉しくて嬉しくて。ガシッと抱きしめました」 と、笑顔で振り返る鈴木さん。ほんと、一歩間違ったら大惨事だっただけに笑って話せて本当によかった。

「この人(鈴木さんは馬のことをこう呼びます)、普段はジャレてわたしの頭をひっぱたいたりします。憎らしいときもあるけど、こうやって無事に帰ってきてくれて本当に嬉しいし、可愛い(笑)」


カレンブラックヒルは放牧へ

カレンブラックヒルは放牧へ

マルセリーナ田辺騎手とコンビ

マルセリーナ田辺騎手とコンビ

 実は、鈴木さんは担当馬のレース前には必ず競馬場やトレセンの馬頭観音に出向いて手を合わせるそうです。

「それから、レースに向かうときは必ず無事を祈って神戸の馬頭さん(馬頭観音妙光院)で炊いてもらったお塩で盛り塩(お尻の上に三角に塩を盛ること)をし、脚にも塩をまくんです」(鈴木さん)

 だからなのか、ヘッドライナーをはじめこれまでの鈴木さんの担当馬は競馬で大きな怪我をしたことがないそうです。この神戸の馬頭観音妙光院は競馬関係者には有名で多くの方々が信仰しています。神戸の町中からは少し距離がありますが、すごく静かでいいところですよ。スダチの御利益にあやかって、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

 さて、NHKマイルCの優勝馬カレンブラックヒルは「ダービーには向かわず本日放牧」(平田師)とのこと。厩舎に伺うと、またあくびしていました。同じ馬を取材して、毎回あくびしているのはこのカレンブラックヒルだけです。よほど厩舎でリラックスしているんでしょうね。

 ヴィクトリアマイルを狙うマルセリーナは急遽、田辺騎手に乗り替わり。でも、松田博師は「マルセリーナは癖のある馬ではない」と話しているように問題ないでしょう。「最近は鞍上に素直に反応している」というマルちゃん、今回も無事に力を出し切れば結果はついてくると思います。

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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