2017年07月20日(木) 12:00
◆人馬のコミュニケーションをとり続けていた
よいことはいつかは必ず理解してもらえるという意味に通じる「徳、孤ならず」ということばがある。事は一挙に成ることはないから、すべて一歩一歩すすめていくのが望ましい。それがよいことであればあるほど、その辛抱強い努力が大切で、急がず、根気良く続けていきたい。
ともすれば、目先の利益に気を奪われがちになるが、そこは謙虚な姿のまま、少しずつでもやっていく心がまえを守ることで、やがて事が成就する、ルミナスウォリアーの函館記念優勝には、そんな物語がかくされていた。
2週間の騎乗停止期間が明けて、いきなり、コンビ15戦目で重賞初制覇に導いた柴山雄一騎手は、レースに乗れない間もずっとルミナスウォリアーにつきっきり。
きゅう舎スタッフと一緒に仕上げに力をそそいできた。追い切りはもちろん、乗り運動やキャンターでの調整にも毎日のように乗り、人馬のコミュニケーションをとり続けていた。
状態の良さを感じていた柴山騎手は、終始馬群の外を回って追う強気な競馬をしていたが、午前中から降った雨の影響で前が止まりにくい馬場になっていたのが幸いしていた。
ヤマカツライデンがペースを落とさず先頭を行き、マイネルミラノに来られても頑張っていて、相手なりに走れるタマモベストプレイがこれを追うという展開で、大波乱の立役者になったタマモベストプレイも、この馬場が大きくプラスしていた。
ルミナスウォリアーはこの先行前残りの状況の中、いつもより早く動いて4コーナーでは外から先行集団に取りつくという力強いレース。
これまでの善戦マンのイメージを払拭する走りで待望の初重賞制覇を達成した。また、柴山騎手も1年8か月ぶりの重賞勝ちで、和田調教師は平地の重賞開業9年目にして初勝利という記録までついていた。
能力は感じていても体質の弱いところを考え、無理せずじっくり育て、馬の能力をつぶさないようにやってきた成果があったとも言える。
目先にとらわれず、辛抱強くよいと思うやり方を貫くことで勝利の女神がほほ笑んでくれたのだとも言えたのだった。これで函館の馬場はいつもの感じになりそうだ。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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